[8日 ロイター] - <為替> 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ抑制に利上げを継続する姿勢を示したことを受け、ドルが対円で上昇した。ドルは過去10営業日のうち9日で上昇している。
パウエル議長はケイトー研究所で行われた金融政策に関する討論会で、FRBはインフレ抑制に「強くコミットしている」と表明。20─21日の連邦公開市場委員会(FOMC)で予想される利上げの幅については手がかりを示さなかったものの、利上げ計画を撤回しないとの姿勢を改めて強調。「現時点ではこれまで通りに力強く行動する必要があり、達成されるまで継続しなくてはならない」と述べた。
他のFRB当局者では、シカゴ連銀のエバンズ総裁が利上げが景気後退につながるとは考えていないとし、FRBが今月0.75%ポイントの追加利上げを決定することは「十分にあり得る」と述べた。
終盤の取引でドルは対円で0.1%高の143.96円。6日の取引で144.99円と、24年ぶりの高値を付けていた。
主要6通貨に対するドル指数は109.63。前日は2002年6月以来の水準に上昇していた。
この日は、欧州中央銀行(ECB)が0.75%の利上げを決定。追加利上げを示唆し、インフレとの戦いを優先させる姿勢を鮮明にした。ただ今回の利上げ後もECBは特にFRBに遅れをとっており、一部アナリストは、7月以降の大幅利上げはそれに追いつくためとの見方を示しており、ラガルド総裁も「まだ旅路の半ばにある」と述べた。
ユーロは0.1%安の0.9994ドル。
英ポンドは対ドルで下落。英国ではこの日、エリザベス女王が96歳で死去した。
円は、主要中銀の中で日銀が唯一ハト派姿勢を維持していることから、このところのドル高の犠牲になっている。
財務省の神田真人財務官は8日、政府・日銀の3者会合後に記者団に対し、市場動向や急速な円安を高い緊張感もって注視することを確認したとし、このような動き継続すればあらゆる措置を取る準備があると述べた。
<債券> 米債利回りが上昇した。パウエルFRB議長がFRBの優先課題はインフレ対策であると改めて強調したことを受けた。
パウエル議長は8日、ケイトー研究所で行われた金融政策に関する討論会に出席し、FRBがインフレ抑制に「強くコミットしている」と表明した。
他のFRB当局者では、シカゴ連銀のエバンズ総裁が利上げが景気後退につながるとは考えていないとし、FRBが今月0.75%ポイントの追加利上げを決定することは「十分にあり得る」と述べた。
8月の米消費者物価指数(CPI)は13日に発表される。
指標10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)上昇の3.292%。8月2日に付けた4カ月ぶり低水準の2.516%から上昇しているものの、6月14日に付けた11年ぶり高水準の3.498%を下回っている。
2年債利回りは4bp上昇し3.491%。先週には3.551%と2007年11月以来の高水準を付けていた。
2・10年債の利回り格差はマイナス20bp。8月10日にはマイナス56bpだった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物は2.50%と2カ月ぶり低水準を付けた。
<株式> 続伸。銀行株やヘルスケア関連銘柄が上昇を主導した。FRB当局者によるタカ派的な発言を受け、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げが実施されるという観測が強まった。
インフレ抑制に向けたFRBの今後の措置を巡り警戒感が残る中、主要株価指数は不安定な値動きとなった。
短期金融市場が織り込む今月のFOMCでの75bp利上げ確率は87%となっている。
FRBのパウエル議長はこの日行われた金融政策に関する討論会で、FRBはインフレ抑制に「強くコミットしている」と表明。
シカゴ連銀のエバンズ総裁は講演で、高すぎるインフレを抑えることが「最優先の課題」だと述べた。
市場は今月20─21日のFOMCでの利上げ幅が50bpになるか75bpになるか新たな手掛かりを得るため、来週発表される8月のインフレ統計に注目している。
こうした中、米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は3カ月ぶりの水準に減少。FRBが政策金利を引き上げる中でも労働市場の堅調さが浮き彫りとなった。
大規模な追加利上げの観測が高まる中、金利に敏感な銀行株が2.8%高となったほか、ヘルスケアも1.8%上昇。
個別銘柄では、リジェネロン・ファーマシューティカルズが18.8%急伸。眼科薬の臨床試験結果を好感した。
ゲームストップも7.4%高。前日発表した第2・四半期決算で、最終赤字が市場予想より小幅にとどまった。
一方、アパレルのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズは8.7%安。第2・四半期の利益が予想を下回り、四半期配当を停止する方針を示した。
<金先物> FRBによる積極的な利上げ継続への危機感から反落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比7.60ドル(0.44%)安の1オンス=1720.20ドルだった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 早朝に約8カ月ぶりの安値を更新したものの、その後に押し目買いが台頭して反発した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.60ドル(1.95%)高の1バレル=83.54ドル。11月物は1.44ドル高の83.07ドルだった。
新型コロナウイルスが再流行している中国で、ロックダウン(都市封鎖)に踏み切る都市が増加。5日時点の米報道によると、3億人以上が規制の対象となっている。これがエネルギー需要の鈍化につながるとの警戒感を強め、相場は早朝に一時81.20ドルと、今年1月中旬以来約8カ月ぶりの安値を更新。加えて、朝方にはECBが0.75%と過去最大幅の利上げを決定し、各国による積極的な金融引き締めに伴う景気減速への懸念もくすぶった。
しかし、その後は切り返し、プラス圏に浮上。対ウクライナ戦争の資金調達を阻むため、 欧州連合(EU)がロシア産天然ガスに価格上限を設ける方策を検討すると表明したことを受け、プーチン大統領がガス供給停止を警告したことなどが買い材料視されたもよう。午前には、米エネルギー情報局(EIA)が公表した週報で、原油在庫が880万バレルの大幅増を記録。ガソリン在庫も増加し、いずれも市場予想と乖離(かいり)する結果だったが、一時的な下げにとどまった。
ドル/円 NY終値 144.09/144.12
始値 143.68
高値 144.44
安値 143.33
ユーロ/ドル NY終値 0.9994/0.9998
始値 1.0008
高値 1.0029
安値 0.9932
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 91*05.50 3.4768%
前営業日終値 92*14.00 3.4050%
10年債(指標銘柄) 17時05分 95*06.00 3.3227%
前営業日終値 95*21.00 3.2650%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*20.00 3.4278%
前営業日終値 98*29.75 3.3600%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.13 3.5118%
前営業日終値 99*20.00 3.4470%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 31774.52 +193.24 +0.61
前営業日終値 31581.28
ナスダック総合 11862.13 +70.23 +0.60
前営業日終値 11791.90
S&P総合500種 4006.18 +26.31 +0.66
前営業日終値 3979.87
COMEX金 12月限 1720.2 ‐7.6
前営業日終値 1727.8
COMEX銀 12月限 1844.2 +18.2
前営業日終値 1826.0
北海ブレント 11月限 89.15 +1.15
前営業日終値 88.00
米WTI先物 10月限 83.54 +1.60
前営業日終値 81.94
CRB商品指数 278.3067 +1.7907
前営業日終値 276.5160