■今後の見通し
(1)中期経営計画の概要
ジャパンベストレスキューシステム (T:2453)は2016年11月に新たに3ヶ年の中期経営計画を発表した。
日常生活の困りごとに関して、「困っている人を助ける!」を経営理念として掲げ、「500万世帯へのサービス提供の実現」(現在は約240万世帯に提供)を目指していく。
現在、国内の世帯数は約5,000万世帯であり、その1割にサービスを提供していきたい考えだ。
今回の中期経営計画では、主力事業である「駆けつけ」「会員」「保険」「保証」の4つのサービスに注力することで早期に収益基盤の再構築を図り、2020年以降の本格成長に向けた礎を築く期間と位置付けている。
経営目標値として最終年度となる2019年9月期の連結売上高は19,000百万円(2016年9月期比64.5%増)、営業利益1,900百万円(同130.6%増)、ROE22.6%以上と意欲的な目標を掲げている。
主力4事業の強化に加えて、周辺事業も含めてM&Aを活用しながら事業規模の拡大を図っていく方針だ。
また、経営効率の向上を目的にITシステム投資や人的投資、強固な集客基盤を確立するためのポータルサイトの開発や、インターネット広告投資などを積極的に行っていく。
(2)事業戦略
a)駆けつけ事業の戦略
駆けつけ事業は従来のコールセンター事業、加盟店事業、企業提携事業の3つの事業となる。
市場競争の激化によりここ数年は伸び悩んでいたが、今後3年間で最も大きく伸ばしていく事業と同社では位置付けている。
現状の課題認識としては、事業ごとに顧客情報管理を行ってきたため、事業間の顧客情報の共有ができていないこと、集客施策としてインターネットを活用した施策が十分に出来ていないこと、サービスメニューが20カテゴリーと多岐に広がっており、広告の費用対効果も含めて効率が悪化していること等が挙げられる。
こうした課題に対する今後の戦略として、顧客情報管理に関しては新たに業務横断型のERP(業務基幹ソフトウェア)システムを導入し、一元管理を行っていくことにしている。
2017年8月末の稼働を予定しており、投資額は442百万円、年間の費用としては償却費・保守費用含めて10百万円程度を見込んでいる。
同システムの導入により2018年9月期以降はグループ間の顧客情報の共有化が可能となり、提案型の営業活動も効率的に行っていくことが可能となる。
また、インターネットを活用した集客施策を積極的に行っていく方針で、今後は生活トラブル関連サービスで日本最大級の情報量を有し、費用見積りや予約などもインターネットで完結できる使い勝手の良い集客サイトを構築していく計画となっている。
また、インターネット広告ではCtoCのクラシファイドサイトなどにも積極的に介在していく考えだ。
サービスメニューに関しては、収益性と需要が一定以上見込める主要な7つのサービスメニューに絞って広告展開を進め、事業拡大を図っていく方針となっている。
具体的には、カギ、水まわり、ガラス、害虫駆除、パソコン、庭掃除、リフォームで、これらサービスに絞ることで経営効率を向上していく。
また、加盟店の「直営店化」による収益力強化も進めていく計画だ。
主に東名阪の大都市圏を営業エリアとする加盟店が対象となる。
直営店化することで積極的なマーケティング施策を実施できるほか、今までバラつきのあったサービス品質を均一化し、顧客満足度の向上を図ることが可能となる。
第1弾として、2016年8月に「カギ」の駆けつけサービスの主要加盟店であったジャパンロックレスキューサービス(株)(以下、JLR)の全株式を40百万円で取得し、完全子会社化した(同年10月に同社が吸収合併)。
JLRは大阪を地盤として主要都市に展開しており、2015年9月期の売上高は1,267百万円、営業利益は10百万円の収益水準となっている。
また、「カギ」の分野では名古屋を拠点とする加盟店についても現在、交渉を進めている段階にある。
「カギ」の駆けつけサービスの国内市場は約100億円と見られており、業界トップはRセキュリティ(株)で5割を占めており、JLRは1割強と2番手に位置している。
今後、他の加盟店の直営化を進めることで、数年後にトップシェアの獲得を目指している。
「カギ」の駆けつけサービスで事業拡大に成功すれば「水回り」や「ガラス」の加盟店についても、直営店化を進め市場シェアの獲得を進めていく方針だ。
さらには、今後の成長ポテンシャルが最も大きいリフォーム需要の獲得を強化していく方針となっている。
現在、年間17万世帯に訪問しているが、そのなかでリフォーム等のニーズを拾い上げる営業活動を進めていく。
リフォーム案件は他のサービスよりも単価が高くなるため、需要を獲得できれば一気に事業規模が拡大する可能性が出てくる。
同社では「駆けつけ」サービスの訪問世帯数を、現状の約3倍となる年間約50万世帯に拡大していくことを目標としている。
b)会員・保証事業の戦略
会員・保証事業では、会員数を現状の204万人から2倍となる410万人に拡大していくことを目指している。
基本戦略としては、「入り」のタイミング(入居、入学、入会、購入、加入等)を重視した新規会員の獲得を継続していくほか、業界No.1/No.2企業との提携を各分野で推進していくことで、会員数を増やしていく。
2015年からNTTドコモ向けに提供を開始した「家のあんしんパートナー」のような成功事例を今後も多く積み上げていくことで実現可能と見ている。
「安心入居サポート」に関しては通信、電力、新聞など公共サービスを提供している企業との提携を進めている。
2016年3月には中国新聞社と、同年4月には中部電力のグループ会社であるe-暮らし(株)と提携し、各種サービスの提供を開始している。
また、2017年以降は国内1,2位の新聞社とも提携が実現できる見通しとなっている。
購買者数が年々減少傾向をたどり、収益状況が厳しい新聞販売店にとっても新たな収益源として同社サービスを販売していくモチベーションは高いと見られ、今後の会員数増加が期待される。
同様に、「あんしん修理サポート」についても、大手ハウスメーカーとの提携交渉を進めている。
ストック型のビジネスモデルとなる同事業が拡大していけば、収益の安定性も一段と向上することが見込まれる。
c)保険事業の戦略
保険事業については、現状25万人の顧客を40万人に拡大していくことを目標としている。
「入り」のタイミング(入居、入学、入会、購入、入社等)に自然に加入するような保険商品の開発に注力し、商品数としては現状の5種類から2倍増を目指している。
また、販促施策としては、会員・保証事業で開拓した販売チャネルをうまく活用することで効果的に契約数の拡大を進めていく。
具体例としては、家財保険となる「新すまいRoom保険」を「安心入居サポート」の販売チャネルを使って販売している。
さらには、共通代理店システムの導入により、他社への乗り換え防止にも取り組んでいく。
従来は顧客データベースを事業部ごとに本部で一括して入力していたが、顧客データベースのグループ内での一元化と同時に、データベース入力を販売店で行えるようし、ワンストップで複数のサービスを提供できるようにしていく。
保険事業についてもストック型ビジネスモデルとなるため、今後安定した成長が見込まれる。
(3)投資戦略
投資戦略としては、経営効率向上のためIT投資を進めていくことに加え、人的投資や強固な集客基盤確立のためのインターネット広告への投資を行っていく。
また、本業周辺事業でのM&Aも積極的に進めていく方針だ。
人的投資については、間接業務の人員削減を進めていく一方で、営業等のプロフィット部門の人員増強を進めていくほか、社長室内に人材開発部門を設置し、次代の経営を担う人材の育成にも注力していく。
従業員の仕事に対するモチベーションを高めるため、給与水準を引き上げていくほか、研修制度についても拡充を進めていく。
M&Aについては、ROIC(投下資本利益率)で20%を目標に、社内で十分な検討を行った上で進めていく。
対象となる企業の規模としては、連結売上高で10%以下を目安としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
(1)中期経営計画の概要
ジャパンベストレスキューシステム (T:2453)は2016年11月に新たに3ヶ年の中期経営計画を発表した。
日常生活の困りごとに関して、「困っている人を助ける!」を経営理念として掲げ、「500万世帯へのサービス提供の実現」(現在は約240万世帯に提供)を目指していく。
現在、国内の世帯数は約5,000万世帯であり、その1割にサービスを提供していきたい考えだ。
今回の中期経営計画では、主力事業である「駆けつけ」「会員」「保険」「保証」の4つのサービスに注力することで早期に収益基盤の再構築を図り、2020年以降の本格成長に向けた礎を築く期間と位置付けている。
経営目標値として最終年度となる2019年9月期の連結売上高は19,000百万円(2016年9月期比64.5%増)、営業利益1,900百万円(同130.6%増)、ROE22.6%以上と意欲的な目標を掲げている。
主力4事業の強化に加えて、周辺事業も含めてM&Aを活用しながら事業規模の拡大を図っていく方針だ。
また、経営効率の向上を目的にITシステム投資や人的投資、強固な集客基盤を確立するためのポータルサイトの開発や、インターネット広告投資などを積極的に行っていく。
(2)事業戦略
a)駆けつけ事業の戦略
駆けつけ事業は従来のコールセンター事業、加盟店事業、企業提携事業の3つの事業となる。
市場競争の激化によりここ数年は伸び悩んでいたが、今後3年間で最も大きく伸ばしていく事業と同社では位置付けている。
現状の課題認識としては、事業ごとに顧客情報管理を行ってきたため、事業間の顧客情報の共有ができていないこと、集客施策としてインターネットを活用した施策が十分に出来ていないこと、サービスメニューが20カテゴリーと多岐に広がっており、広告の費用対効果も含めて効率が悪化していること等が挙げられる。
こうした課題に対する今後の戦略として、顧客情報管理に関しては新たに業務横断型のERP(業務基幹ソフトウェア)システムを導入し、一元管理を行っていくことにしている。
2017年8月末の稼働を予定しており、投資額は442百万円、年間の費用としては償却費・保守費用含めて10百万円程度を見込んでいる。
同システムの導入により2018年9月期以降はグループ間の顧客情報の共有化が可能となり、提案型の営業活動も効率的に行っていくことが可能となる。
また、インターネットを活用した集客施策を積極的に行っていく方針で、今後は生活トラブル関連サービスで日本最大級の情報量を有し、費用見積りや予約などもインターネットで完結できる使い勝手の良い集客サイトを構築していく計画となっている。
また、インターネット広告ではCtoCのクラシファイドサイトなどにも積極的に介在していく考えだ。
サービスメニューに関しては、収益性と需要が一定以上見込める主要な7つのサービスメニューに絞って広告展開を進め、事業拡大を図っていく方針となっている。
具体的には、カギ、水まわり、ガラス、害虫駆除、パソコン、庭掃除、リフォームで、これらサービスに絞ることで経営効率を向上していく。
また、加盟店の「直営店化」による収益力強化も進めていく計画だ。
主に東名阪の大都市圏を営業エリアとする加盟店が対象となる。
直営店化することで積極的なマーケティング施策を実施できるほか、今までバラつきのあったサービス品質を均一化し、顧客満足度の向上を図ることが可能となる。
第1弾として、2016年8月に「カギ」の駆けつけサービスの主要加盟店であったジャパンロックレスキューサービス(株)(以下、JLR)の全株式を40百万円で取得し、完全子会社化した(同年10月に同社が吸収合併)。
JLRは大阪を地盤として主要都市に展開しており、2015年9月期の売上高は1,267百万円、営業利益は10百万円の収益水準となっている。
また、「カギ」の分野では名古屋を拠点とする加盟店についても現在、交渉を進めている段階にある。
「カギ」の駆けつけサービスの国内市場は約100億円と見られており、業界トップはRセキュリティ(株)で5割を占めており、JLRは1割強と2番手に位置している。
今後、他の加盟店の直営化を進めることで、数年後にトップシェアの獲得を目指している。
「カギ」の駆けつけサービスで事業拡大に成功すれば「水回り」や「ガラス」の加盟店についても、直営店化を進め市場シェアの獲得を進めていく方針だ。
さらには、今後の成長ポテンシャルが最も大きいリフォーム需要の獲得を強化していく方針となっている。
現在、年間17万世帯に訪問しているが、そのなかでリフォーム等のニーズを拾い上げる営業活動を進めていく。
リフォーム案件は他のサービスよりも単価が高くなるため、需要を獲得できれば一気に事業規模が拡大する可能性が出てくる。
同社では「駆けつけ」サービスの訪問世帯数を、現状の約3倍となる年間約50万世帯に拡大していくことを目標としている。
b)会員・保証事業の戦略
会員・保証事業では、会員数を現状の204万人から2倍となる410万人に拡大していくことを目指している。
基本戦略としては、「入り」のタイミング(入居、入学、入会、購入、加入等)を重視した新規会員の獲得を継続していくほか、業界No.1/No.2企業との提携を各分野で推進していくことで、会員数を増やしていく。
2015年からNTTドコモ向けに提供を開始した「家のあんしんパートナー」のような成功事例を今後も多く積み上げていくことで実現可能と見ている。
「安心入居サポート」に関しては通信、電力、新聞など公共サービスを提供している企業との提携を進めている。
2016年3月には中国新聞社と、同年4月には中部電力のグループ会社であるe-暮らし(株)と提携し、各種サービスの提供を開始している。
また、2017年以降は国内1,2位の新聞社とも提携が実現できる見通しとなっている。
購買者数が年々減少傾向をたどり、収益状況が厳しい新聞販売店にとっても新たな収益源として同社サービスを販売していくモチベーションは高いと見られ、今後の会員数増加が期待される。
同様に、「あんしん修理サポート」についても、大手ハウスメーカーとの提携交渉を進めている。
ストック型のビジネスモデルとなる同事業が拡大していけば、収益の安定性も一段と向上することが見込まれる。
c)保険事業の戦略
保険事業については、現状25万人の顧客を40万人に拡大していくことを目標としている。
「入り」のタイミング(入居、入学、入会、購入、入社等)に自然に加入するような保険商品の開発に注力し、商品数としては現状の5種類から2倍増を目指している。
また、販促施策としては、会員・保証事業で開拓した販売チャネルをうまく活用することで効果的に契約数の拡大を進めていく。
具体例としては、家財保険となる「新すまいRoom保険」を「安心入居サポート」の販売チャネルを使って販売している。
さらには、共通代理店システムの導入により、他社への乗り換え防止にも取り組んでいく。
従来は顧客データベースを事業部ごとに本部で一括して入力していたが、顧客データベースのグループ内での一元化と同時に、データベース入力を販売店で行えるようし、ワンストップで複数のサービスを提供できるようにしていく。
保険事業についてもストック型ビジネスモデルとなるため、今後安定した成長が見込まれる。
(3)投資戦略
投資戦略としては、経営効率向上のためIT投資を進めていくことに加え、人的投資や強固な集客基盤確立のためのインターネット広告への投資を行っていく。
また、本業周辺事業でのM&Aも積極的に進めていく方針だ。
人的投資については、間接業務の人員削減を進めていく一方で、営業等のプロフィット部門の人員増強を進めていくほか、社長室内に人材開発部門を設置し、次代の経営を担う人材の育成にも注力していく。
従業員の仕事に対するモチベーションを高めるため、給与水準を引き上げていくほか、研修制度についても拡充を進めていく。
M&Aについては、ROIC(投下資本利益率)で20%を目標に、社内で十分な検討を行った上で進めていく。
対象となる企業の規模としては、連結売上高で10%以下を目安としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)