■業績動向
1. 2017年12月期第2四半期の業績概要
木徳神糧 (T:2700)の2017年12月期第2四半期決算は、売上高が49,903百万円(前年同期比8.0%減)、営業利益279百万円(同61.5%減)、経常利益330百万円(同56.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益639百万円(同8.2%増)となった。
主力の米穀事業において適正な利益を確保できなかったこと、食品事業で台湾工場の稼動開始がさらに遅れ追加費用が発生したことなどから前年同期比では大幅な営業減益となった。
ただし、仙台工場の跡地、旧本社跡地、伊勢原の土地・建物などの売却益(522百万円)を特別利益として計上したことなどから、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で増益となった。
セグメント別売上高は、米穀事業が42,696百万円(同4.9%減)、食品事業が1,686百万円(同56.1%減)、飼料事業が3,055百万円(同1.8%増)、鶏卵事業が2,464百万円(同1.1%減)となった。
食品事業の売上高が大幅に減少しているのは、前第2四半期には売却した内外食品の売上高が含まれていたからである。
また、セグメント別営業利益(全社分消去前)は、米穀事業が591百万円(前年同期比40.3%減)、食品事業が56百万円の損失(前年同期25百万円の損失)、飼料事業が183百万円(前年同期比21.8%増)、鶏卵事業が3百万円の損失(前年同期10百万円の利益)となった。
(1) 米穀事業
主力の米穀事業では、米穀の総販売数量は218.2千トンとなり前年同期の237.3千トンから19.1千トン減少した。
内訳は、国産精米96.1千トン(同1.3千トン減)、外国産精米(MA米含む)72.7千トン(同11.9千トン減)、国産玄米49.4千トン(同5.8千トン減)であった。
国産精米については、コンビニエンスストアや外食チェーン向け、いわゆる中食・外食向けの販売は比較的堅調であったが、生協やGMS経由で販売される一般家庭向けの精米販売は人口減、少子高齢化やライフスタイルの変化による消費減少の影響を受け低迷が続いた。
また、外国産米については、同社の外国産米の取扱いの大半を占めるミニマム・アクセス米の一般入札分の販売数量が減少した。
また、卸業者向け玄米の販売も、末端での消費の低迷を反映して前年同期比では減少となった。
価格においては、平成27年産米の相対価格が13,100~13,300円(キロ当たり)で推移したのに対し、平成28年産米は14,300~14,500円で推移した。
このため同社の販売金額(売上高)も前年同期比で上昇したが、一方で仕入価格も上昇した。
その中で価格転嫁が比較的可能な家庭用向けが低迷する一方で、値上げが容易でない外食向け等の数量が増加したことから全体の採算が悪化し、セグメント利益は大幅減益となった。
外国産米の取扱数量は、ミニマム・アクセス米の入札方式という不確定要素が大きい。
基本的に主食用として流通しない一般入札分は政府に売り渡すため一回ごとの数量も多いが、落札してから最終的に計上されるまでの期間も半年以上かかることや、輸入する外国産米の種類によって価格帯が大きく異なるため、数量・売上ともに前期との比較がしづらいことに留意する必要がある。
同社が業務用米の確保に苦戦した理由の1つが、政策的な飼料用米生産への取り組み強化を一因とした業務用米不足である。
この政策は、2018年産からの生産数量目標配分の廃止、いわゆる減反政策廃止に備え、需要に応じた主食用米の生産を行い過剰作付けを解消することが目的である。
しかし、従来業務用米として低価格帯の米を生産していた生産者が、その米を補助金によって手取りの良くなる飼料用米へ向けてしまったため、需要の伸びている中食・外食を中心にニーズの高い業務用米が逼迫・高騰した。
一方で消費の減少している家庭用向けの高価格ブランド米が新品種として数多く生産され、値崩れの傾向にあるという需給のミスマッチが発生している。
ただし、この業務用向けの低価格米が不足している状況のなか、主食用米として流通させることができるSBS方式で米国産のカルローズ等の外国産米の輸入を行っていることは同社の強みと言えるだろう。
(2) 食品事業
食品事業では、鶏肉事業を行っていた子会社の内外食品の株式を2016年夏にすべて売却したことで、長い間赤字を計上していた鶏肉事業から撤退した。
この結果、現在の食品事業は同社及び台湾子会社が行う米関連の加工食品、米粉製品、たんぱく質調整米(真粒米)等の製造・販売だけになっている。
鶏肉事業から撤退したことで売上高は前年同期比で大幅減となった。
損益面でも不採算事業から撤退したことで赤字体質からは脱却しつつあるが、たんぱく質調整米の台湾工場の竣工が予定より大幅に遅れたことに加え、稼動も計画より大きく遅れてしまい追加費用が発生した一方で、この上期の売上高はほぼゼロであった。
この結果、セグメント損益は、前年同期を上回る損失を計上することとなった。
ただし、この特殊要因を除けば、それ以外の製品類は利益を計上しており、ほぼ計画どおりであったと言える。
(3) 飼料事業
比較的順調に推移し、売上高、利益ともにほぼ前年並み(計画線)を維持した。
地味ではあるが、着実に利益を計上している部門である。
(4) 鶏卵事業
鶏卵相場は前年並みに推移したなかで、業務用向けの鶏卵及び鶏卵加工品の販売は増加したものの、量販店向けのパック卵の販売が減少した。
この結果、売上高は前年同期比で微減となり、セグメント損益は損失を計上した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
1. 2017年12月期第2四半期の業績概要
木徳神糧 (T:2700)の2017年12月期第2四半期決算は、売上高が49,903百万円(前年同期比8.0%減)、営業利益279百万円(同61.5%減)、経常利益330百万円(同56.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益639百万円(同8.2%増)となった。
主力の米穀事業において適正な利益を確保できなかったこと、食品事業で台湾工場の稼動開始がさらに遅れ追加費用が発生したことなどから前年同期比では大幅な営業減益となった。
ただし、仙台工場の跡地、旧本社跡地、伊勢原の土地・建物などの売却益(522百万円)を特別利益として計上したことなどから、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で増益となった。
セグメント別売上高は、米穀事業が42,696百万円(同4.9%減)、食品事業が1,686百万円(同56.1%減)、飼料事業が3,055百万円(同1.8%増)、鶏卵事業が2,464百万円(同1.1%減)となった。
食品事業の売上高が大幅に減少しているのは、前第2四半期には売却した内外食品の売上高が含まれていたからである。
また、セグメント別営業利益(全社分消去前)は、米穀事業が591百万円(前年同期比40.3%減)、食品事業が56百万円の損失(前年同期25百万円の損失)、飼料事業が183百万円(前年同期比21.8%増)、鶏卵事業が3百万円の損失(前年同期10百万円の利益)となった。
(1) 米穀事業
主力の米穀事業では、米穀の総販売数量は218.2千トンとなり前年同期の237.3千トンから19.1千トン減少した。
内訳は、国産精米96.1千トン(同1.3千トン減)、外国産精米(MA米含む)72.7千トン(同11.9千トン減)、国産玄米49.4千トン(同5.8千トン減)であった。
国産精米については、コンビニエンスストアや外食チェーン向け、いわゆる中食・外食向けの販売は比較的堅調であったが、生協やGMS経由で販売される一般家庭向けの精米販売は人口減、少子高齢化やライフスタイルの変化による消費減少の影響を受け低迷が続いた。
また、外国産米については、同社の外国産米の取扱いの大半を占めるミニマム・アクセス米の一般入札分の販売数量が減少した。
また、卸業者向け玄米の販売も、末端での消費の低迷を反映して前年同期比では減少となった。
価格においては、平成27年産米の相対価格が13,100~13,300円(キロ当たり)で推移したのに対し、平成28年産米は14,300~14,500円で推移した。
このため同社の販売金額(売上高)も前年同期比で上昇したが、一方で仕入価格も上昇した。
その中で価格転嫁が比較的可能な家庭用向けが低迷する一方で、値上げが容易でない外食向け等の数量が増加したことから全体の採算が悪化し、セグメント利益は大幅減益となった。
外国産米の取扱数量は、ミニマム・アクセス米の入札方式という不確定要素が大きい。
基本的に主食用として流通しない一般入札分は政府に売り渡すため一回ごとの数量も多いが、落札してから最終的に計上されるまでの期間も半年以上かかることや、輸入する外国産米の種類によって価格帯が大きく異なるため、数量・売上ともに前期との比較がしづらいことに留意する必要がある。
同社が業務用米の確保に苦戦した理由の1つが、政策的な飼料用米生産への取り組み強化を一因とした業務用米不足である。
この政策は、2018年産からの生産数量目標配分の廃止、いわゆる減反政策廃止に備え、需要に応じた主食用米の生産を行い過剰作付けを解消することが目的である。
しかし、従来業務用米として低価格帯の米を生産していた生産者が、その米を補助金によって手取りの良くなる飼料用米へ向けてしまったため、需要の伸びている中食・外食を中心にニーズの高い業務用米が逼迫・高騰した。
一方で消費の減少している家庭用向けの高価格ブランド米が新品種として数多く生産され、値崩れの傾向にあるという需給のミスマッチが発生している。
ただし、この業務用向けの低価格米が不足している状況のなか、主食用米として流通させることができるSBS方式で米国産のカルローズ等の外国産米の輸入を行っていることは同社の強みと言えるだろう。
(2) 食品事業
食品事業では、鶏肉事業を行っていた子会社の内外食品の株式を2016年夏にすべて売却したことで、長い間赤字を計上していた鶏肉事業から撤退した。
この結果、現在の食品事業は同社及び台湾子会社が行う米関連の加工食品、米粉製品、たんぱく質調整米(真粒米)等の製造・販売だけになっている。
鶏肉事業から撤退したことで売上高は前年同期比で大幅減となった。
損益面でも不採算事業から撤退したことで赤字体質からは脱却しつつあるが、たんぱく質調整米の台湾工場の竣工が予定より大幅に遅れたことに加え、稼動も計画より大きく遅れてしまい追加費用が発生した一方で、この上期の売上高はほぼゼロであった。
この結果、セグメント損益は、前年同期を上回る損失を計上することとなった。
ただし、この特殊要因を除けば、それ以外の製品類は利益を計上しており、ほぼ計画どおりであったと言える。
(3) 飼料事業
比較的順調に推移し、売上高、利益ともにほぼ前年並み(計画線)を維持した。
地味ではあるが、着実に利益を計上している部門である。
(4) 鶏卵事業
鶏卵相場は前年並みに推移したなかで、業務用向けの鶏卵及び鶏卵加工品の販売は増加したものの、量販店向けのパック卵の販売が減少した。
この結果、売上高は前年同期比で微減となり、セグメント損益は損失を計上した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)