[東京 14日 ロイター] - トヨタ自動車が、高級車「クラウン」にスポーツ多目的車(SUV)タイプを追加することが分かった。来夏の国内発売を計画している。セダン市場が先細りする中、同社を代表するブランドを残すためにラインアップを拡充し、2024年に電気自動車(EV)版を投入することも検討している。複数の関係筋が14日までに明らかにした。
トヨタは高級セダンとして60年以上の歴史を持つクラウンを刷新し、23年夏からSUVタイプを新たに発売する計画。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)のほか、EVの展開も検討中で、PHV以外は北米・中国へ輸出する方針。セダンタイプも新型車として今夏に日本でHVを発売し、北米、中国、中東など海外にも順次輸出する。
SUVとセダンの両タイプとも愛知県豊田市の工場で生産する。
関係者の1人は「クラウンはトヨタの歴史を刻んできた大事な車。愛用者の想いも汲みつつ、時代の流れや流行にも柔軟に対応して進化を続けてほしい」と述べた。
トヨタの広報担当者はロイターの取材に対し、「商品計画についてはお伝えできない」と回答した。
トヨタは1955年に初代クラウンを発売。日本車メーカーの多くが海外勢と技術提携して乗用車を生産する中、日本の道路事情に合うよう設計された初の純国産乗用車として登場した。58年には日本車として初となる本格的な米国輸出を始めた。
その後は主に国内市場向けの高級セダンとして全面改良を重ね、「いつかはクラウン」という宣伝コピーが表現するように、豊かになった日本経済の象徴となった。バブル期の1990年には国内では年間20万台超を売り上げた。
しかし、SUVやミニバンが需要を拡大する一方で、セダン市場は徐々に縮小。クラウンも昨年の国内販売実績は約2万台と、ピーク時の10分の1に落ち込んだ。ユーザー層の高齢化も課題で、若返りが急務になっている。
(白木真紀 取材協力:杉山聡 編集:久保信博)