■事業概要
1. 犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院
日本動物高度医療センター (T:6039)は犬・猫向けの高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開している。
犬・猫の飼い主にとっての「かかりつけの病院」となる地域の動物病院(一次診療施設)と連携し、覚書を締結した連携病院を中心とする一次診療施設からの完全紹介・予約制によって、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度医療(二次診療)を行う。
ワクチン接種や予防などの一次診療は行わない。
また診療後のケアは連携病院を中心とした一次診療施設に要請する。
人用医療と同じCT、MRI、放射線治療器、PET-CTといった高度医療設備・機器を備え、犬・猫の専門疾患に関する研究・臨床を行ってきた獣医師が中心となり、犬・猫に対して高度医療(検査・治療)を行う。
一次診療施設である全国各地の「かかりつけの動物病院」と連携して、充実した動物医療体制を実現している。
なお子会社キャミックの画像診断サービスは、同社の二次診療施設と同様に、一次診療施設から画像診断だけを希望する飼い主の紹介を受け、完全紹介・予約制でMRIやCTを用いて画像の撮影を行い、所見を付けて一次診療施設に報告している。
基本的なスタンスは一次診療施設のサポートと位置付けている。
2. 専門診療科による高度医療やチームによる診療体制が強み
犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院として、高度かつ総合的な獣医療を提供していることが特徴だ。
循環器・呼吸器科、泌尿生殖器・消化器科、腫瘍科、脳神経・整形科、眼科、麻酔科、放射線・画像診断科など、動物の生命もしくは生活の質に大きく関わる分野を幅広くカバーする専門診療科、及び最先端の医療設備・機器を備えて、特定の診療分野に特化した診療を行うとともに、併発する分野の疾患や鑑別が困難な症状の疾患に対して複数の診療科で診療を実施している。
競合先と考えられる獣医科大学病院や単科二次診療所との比較で見ると、11の専門診療科(2018年3月末現在)を有する高度医療専門の総合病院として、専門診療科による高度医療、最先端の高度医療設備・機器、柔軟な患者動物受入対応、チームによる診療体制などを強みとしている。
医療設備・機器に関しては2005年9月設立と若い会社でもあり、獣医系大学病院と同等あるいは以上の最先端医療設備・機器をそろえている。
受入対応に関しては年中無休としている。
原則は覚書を締結した連携病院からの完全紹介・予約制だが、連携病院の覚書を締結していない一次診療施設からの紹介受入、及び救急患者動物の受入れにも柔軟に対応している。
チームによる診療体制については、専門診療科において複数の獣医師・スタッフによるチーム医療を実践し、必要に応じて複数の診療科が協力して対応する。
また患者動物に対する高度先進医療の提供を目指し、遺伝子検査、免疫治療、再生医療などの臨床研究にも取り組んでいる。
獣医科大学病院の場合は、学生の教育・研究が主要目的のため、年中無休体制や急患対応が難しい。
また単科二次診療所の場合は、獣医師数が数名で診療科数が1科という小規模運営のため、年中無休体制や総合診断への対応が難しく、大型の設備投資も容易ではない。
患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合動物病院への参入障壁は高く、同社にアドバンテージがあると考えられる。
3. 収益は診療費が柱
収益は飼い主から受け取る診療費が柱である。
一次診療施設との間で紹介料は発生しない。
なお獣医師の診療報酬は自由診療であり、それぞれの動物病院が個々に設定している。
独占禁止法によって、獣医師団体が基準料金を定めることや、獣医師同士が協定して料金を設定することが禁じられている。
このため動物病院によって診療報酬に格差がある。
同社の場合は、設備投資の償却や人件費などを考慮して診療報酬を設定している。
なお2018年3月期の売上構成比は、同社の二次診療サービスが約79%(川崎本院が約61%、名古屋病院が約15%、東京病院の約2ヶ月分が約3%)、子会社キャミックの画像診断サービスが約21%だった。
また科目別診療件数(合計4,890件)の構成比は、消化器・泌尿器科が31.1%、脳神経科・整形科が26.2%、腫瘍科が26.0%、循環器・呼吸器科が13.6%、眼科が3.0%だった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
1. 犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院
日本動物高度医療センター (T:6039)は犬・猫向けの高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開している。
犬・猫の飼い主にとっての「かかりつけの病院」となる地域の動物病院(一次診療施設)と連携し、覚書を締結した連携病院を中心とする一次診療施設からの完全紹介・予約制によって、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度医療(二次診療)を行う。
ワクチン接種や予防などの一次診療は行わない。
また診療後のケアは連携病院を中心とした一次診療施設に要請する。
人用医療と同じCT、MRI、放射線治療器、PET-CTといった高度医療設備・機器を備え、犬・猫の専門疾患に関する研究・臨床を行ってきた獣医師が中心となり、犬・猫に対して高度医療(検査・治療)を行う。
一次診療施設である全国各地の「かかりつけの動物病院」と連携して、充実した動物医療体制を実現している。
なお子会社キャミックの画像診断サービスは、同社の二次診療施設と同様に、一次診療施設から画像診断だけを希望する飼い主の紹介を受け、完全紹介・予約制でMRIやCTを用いて画像の撮影を行い、所見を付けて一次診療施設に報告している。
基本的なスタンスは一次診療施設のサポートと位置付けている。
2. 専門診療科による高度医療やチームによる診療体制が強み
犬・猫向け高度医療専門の総合動物病院として、高度かつ総合的な獣医療を提供していることが特徴だ。
循環器・呼吸器科、泌尿生殖器・消化器科、腫瘍科、脳神経・整形科、眼科、麻酔科、放射線・画像診断科など、動物の生命もしくは生活の質に大きく関わる分野を幅広くカバーする専門診療科、及び最先端の医療設備・機器を備えて、特定の診療分野に特化した診療を行うとともに、併発する分野の疾患や鑑別が困難な症状の疾患に対して複数の診療科で診療を実施している。
競合先と考えられる獣医科大学病院や単科二次診療所との比較で見ると、11の専門診療科(2018年3月末現在)を有する高度医療専門の総合病院として、専門診療科による高度医療、最先端の高度医療設備・機器、柔軟な患者動物受入対応、チームによる診療体制などを強みとしている。
医療設備・機器に関しては2005年9月設立と若い会社でもあり、獣医系大学病院と同等あるいは以上の最先端医療設備・機器をそろえている。
受入対応に関しては年中無休としている。
原則は覚書を締結した連携病院からの完全紹介・予約制だが、連携病院の覚書を締結していない一次診療施設からの紹介受入、及び救急患者動物の受入れにも柔軟に対応している。
チームによる診療体制については、専門診療科において複数の獣医師・スタッフによるチーム医療を実践し、必要に応じて複数の診療科が協力して対応する。
また患者動物に対する高度先進医療の提供を目指し、遺伝子検査、免疫治療、再生医療などの臨床研究にも取り組んでいる。
獣医科大学病院の場合は、学生の教育・研究が主要目的のため、年中無休体制や急患対応が難しい。
また単科二次診療所の場合は、獣医師数が数名で診療科数が1科という小規模運営のため、年中無休体制や総合診断への対応が難しく、大型の設備投資も容易ではない。
患者動物に最適な検査・診断・治療を迅速に提供できる高度医療専門の総合動物病院への参入障壁は高く、同社にアドバンテージがあると考えられる。
3. 収益は診療費が柱
収益は飼い主から受け取る診療費が柱である。
一次診療施設との間で紹介料は発生しない。
なお獣医師の診療報酬は自由診療であり、それぞれの動物病院が個々に設定している。
独占禁止法によって、獣医師団体が基準料金を定めることや、獣医師同士が協定して料金を設定することが禁じられている。
このため動物病院によって診療報酬に格差がある。
同社の場合は、設備投資の償却や人件費などを考慮して診療報酬を設定している。
なお2018年3月期の売上構成比は、同社の二次診療サービスが約79%(川崎本院が約61%、名古屋病院が約15%、東京病院の約2ヶ月分が約3%)、子会社キャミックの画像診断サービスが約21%だった。
また科目別診療件数(合計4,890件)の構成比は、消化器・泌尿器科が31.1%、脳神経科・整形科が26.2%、腫瘍科が26.0%、循環器・呼吸器科が13.6%、眼科が3.0%だった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)