(決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)(旧イワキが21年6月1日付で持株会社に移行して社名変更)は、4月13日の取引時間終了後に22年11月期第1四半期連結業績(収益認識会計基準適用のため前年比増減率は非記載、営業利益以下への影響軽微)を発表した。先行投資などの影響で小幅減益だが、利益進捗率は高水準だった。通期減益予想を据え置いているが上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は1月の年初来安値圏で底打ちし、その後は徐々に下値を切り上げている。第1四半期利益の高進捗率を評価して出直りを期待したい。
■22年11月期1Q小幅減益だが、利益進捗率高水準
22年11月期第1四半期の連結業績は、売上高が122億85百万円(前年同期は169億75百万円)、営業利益が6億30百万円(同6億63百万円)、経常利益が6億59百万円(同7億05百万円)、親会社株主帰属四半期純利益が4億49百万円(同3億98百万円)だった。
収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が53億79百万円減少、売上原価が53億57百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ12百万円減少している。営業利益以下への影響は軽微である。
なお収益認識会計基準適用前ベースでは、売上高が前年同期比4.1%増の176億65百万円、営業利益が3.1%減の6億42百万円、経常利益が4.8%減の6億72百万円、税金等調整前四半期純利益が4.8%減の6億71百万円だった。先行投資などの影響で小幅減益だった。
ファインケミカル事業は売上高が37億63百万円(同53億16百万円)で、利益(調整前営業利益)が5億20百万円(同2億03百万円)だった。CDMO分野において顧客関係強化や新規顧客開発を推進し、新規GE品目や新規中間体などが順調だった。CDMO分野においても新規サービスなどが順調だった。
HBC・食品事業は売上高が35億49百万円(同65億88百万円)で、利益が95百万円の赤字(同2億35百万円の赤字)だった。食品分野、化粧品分野、マルマンH&Bが好調に推移した。特に化粧品原料が大幅伸長して赤字縮小した。
医薬事業は売上高が27億46百万円(同31億74百万円)で、利益が1億56百万円(同6億25百万円)だった。医療用医薬品ではアトピー性皮膚炎治療薬などが伸長した。出資先であるキノファーマとの新薬製剤共同開発も順調だった。
化学品事業は売上高が22億26百万円(同18億96百万円)で、利益が40百万円(同80百万円)だった。表面処理薬品、表面処理設備とも需要拡大で順調だった。
通期の連結業績予想(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非掲載、売上高が従来の方法と比較して減少するが、営業利益以下への影響は軽微)は据え置いて、売上高が500億円、営業利益が17億円、経常利益が16億円、親会社株主帰属当期純利益が15億円としている。配当予想は21年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。
なお各利益を収益認識会計基準適用前の21年11月期実績との単純比較で算出すると、営業利益は25.5%減益、経常利益は35.2%減益、親会社株主帰属当期純利益は15.3%減益となる。
第1四半期は小幅減益だったが、通期予想に対する進捗率は売上高24.6%、営業利益37.1%、経常利益41.2%、親会社株主帰属当期純利益29.9%で、利益進捗率が高水準だった。22年11月期は不透明感や先行投資などを考慮して減益予想としているが上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は下値固め完了
株価は1月の年初来安値圏で底打ちし、その後は徐々に下値を切り上げている。第1四半期利益の高進捗率を評価して出直りを期待したい。4月13日の終値は418円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS37円62銭で算出)は約11倍、時価総額は約170億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)