■持続的成長に向けた取り組み
(4) ITインフラ関連事業
スターティア (T:3393)のITインフラ関連事業は旧ネットワークソリューション事業と旧ビジネスソリューション事業が合体したものであるが、営業の仕方が大きく変わってくると予想される。
一言で言えば、商品の“販売者”からシステム構築の“請負者”に変革するイメージで弊社は理解している。
元来、ネットワークソリューション事業の商品・サービスと、ビジネスソリューション事業のそれとを合わせると、まさにシステムインテグレーター(SI事業者)の領域をカバーしていた。
今回の組織体制変更で、名実ともにSI事業者としての活動体制が出来上がったと言える。
弊社では、ITインフラ関連事業への移行は、非常に合理的で有効な施策だと考えている。
顧客側のニーズが横断的であるのに対し、従来の組織体制は縦割りであったため、顧客ニーズに十分に応えていたとは言い難い面があった。
今回の組織改編はこれに対応するものと言える。
問題はここでも同社の社員教育ということになると弊社ではみている。
同社が最も強化したいのは、中規模事業向けに、老朽化したインフラサーバーの入れ替えやネットワーク環境の高速化、クラウド環境への全面移行、AWS(Amazon Web Services)上でのネットワーク構築と保守・運用などの、より付加価値の高いシステムインテグレーションサービスの提供だ。
このビジネスモデルを進める上では、営業担当者に求められるスキルセットや意識の在り方において大きな変化が求められる。
従来は商材のスペシャリストを育成・配置する「商材専任制」の営業組織形態だった。
しかしSI事業を進める上では、顧客ごとの担当者を固定する「顧客専任制」に変更されることになる。
顧客ごとのアカウントマネジャーを設置し、顧客側からすればすべての事項についてアカウントマネジャーを窓口としてワンストップサービスを受ける、というイメージだ。
個々の営業担当者からすれば、自社の商材全般についての幅広い知識が必要になるだけでなく、顧客現状を分析してニーズを先取りし、それに対する提案型営業を行えるようなスキルが要求されて来るだろう。
単なる御用聞きでは不十分で、“気の利いた御用聞き”になる必要がある。
SI商材の知識に加えて、SIの知識を社員に教え込むことは大きな問題ではないと弊社ではみている。
“気の利かせかた”をどのようにトレーニングするかがポイントになると弊社ではみている。
ITインフラ関連事業について、業績面では特に懸念はしていない。
この事業の商材・サービスにはストック型収入モデルのものが多く、顧客の囲い込みも十分できているとみられるためだ。
新規顧客の開拓についても、実績が物語るように、中小企業にとって使い勝手の良い商品・サービスがそろっている。
ただ、新しいチャレンジに際して、若手を中心に戸惑うような局面が増えると、計画に対して未達という事態は起こる可能性がある。
反対に従来どおりのアプローチのほうが営業担当者の成績も同社の業績も安定するかもしれない。
保守的に数字をつくりに行くことと、新たな試みにチャレンジすることをどのようにバランスをとって事業を展開していくのかを見守りたいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
一言で言えば、商品の“販売者”からシステム構築の“請負者”に変革するイメージで弊社は理解している。
元来、ネットワークソリューション事業の商品・サービスと、ビジネスソリューション事業のそれとを合わせると、まさにシステムインテグレーター(SI事業者)の領域をカバーしていた。
今回の組織体制変更で、名実ともにSI事業者としての活動体制が出来上がったと言える。
弊社では、ITインフラ関連事業への移行は、非常に合理的で有効な施策だと考えている。
顧客側のニーズが横断的であるのに対し、従来の組織体制は縦割りであったため、顧客ニーズに十分に応えていたとは言い難い面があった。
今回の組織改編はこれに対応するものと言える。
問題はここでも同社の社員教育ということになると弊社ではみている。
同社が最も強化したいのは、中規模事業向けに、老朽化したインフラサーバーの入れ替えやネットワーク環境の高速化、クラウド環境への全面移行、AWS(Amazon Web Services)上でのネットワーク構築と保守・運用などの、より付加価値の高いシステムインテグレーションサービスの提供だ。
このビジネスモデルを進める上では、営業担当者に求められるスキルセットや意識の在り方において大きな変化が求められる。
従来は商材のスペシャリストを育成・配置する「商材専任制」の営業組織形態だった。
しかしSI事業を進める上では、顧客ごとの担当者を固定する「顧客専任制」に変更されることになる。
顧客ごとのアカウントマネジャーを設置し、顧客側からすればすべての事項についてアカウントマネジャーを窓口としてワンストップサービスを受ける、というイメージだ。
個々の営業担当者からすれば、自社の商材全般についての幅広い知識が必要になるだけでなく、顧客現状を分析してニーズを先取りし、それに対する提案型営業を行えるようなスキルが要求されて来るだろう。
単なる御用聞きでは不十分で、“気の利いた御用聞き”になる必要がある。
SI商材の知識に加えて、SIの知識を社員に教え込むことは大きな問題ではないと弊社ではみている。
“気の利かせかた”をどのようにトレーニングするかがポイントになると弊社ではみている。
ITインフラ関連事業について、業績面では特に懸念はしていない。
この事業の商材・サービスにはストック型収入モデルのものが多く、顧客の囲い込みも十分できているとみられるためだ。
新規顧客の開拓についても、実績が物語るように、中小企業にとって使い勝手の良い商品・サービスがそろっている。
ただ、新しいチャレンジに際して、若手を中心に戸惑うような局面が増えると、計画に対して未達という事態は起こる可能性がある。
反対に従来どおりのアプローチのほうが営業担当者の成績も同社の業績も安定するかもしれない。
保守的に数字をつくりに行くことと、新たな試みにチャレンジすることをどのようにバランスをとって事業を展開していくのかを見守りたいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)