〇ポジション調整と金利上昇睨む7月スタート〇
7月相場は、6月末の欧米金利上昇の地合いを受け継いで始まった。
ドイツ10年債利回りは一時0.498%、3ヵ月ぶりの高水準、米10年債利回りは一時2.353%、7週間ぶりの高水準。
週末の米雇用統計が最大の焦点であることは変わらないが、この日は米ISM(供給管理協会)6月製造業景気指数が約3年ぶりの高水準となったことが押し上げた。
3日付ロイターで、米長期金利見通しのベンチマーク的見方が報じられた。
インタビューに答えたのは、米資産運用大手PGI(プリンシパル・グローバル・インベスターズ)のチーフ・グローバル・エコノミスト、ボブ・バウアー氏。
PGIの運用資産は3月末約48兆円。
見通しは「米10年債利回りは、年末に掛けて2.75−3.0%のレンジに向けて上昇する」。
17年の米経済成長率は2.3-2.5%のレンジに着地すると見ており、米金利がなかなか上昇しない要因に、「投資家のコンセンサスが低金利(デフレ)から抜け切れていない」、「日欧との格差」を指摘した。
6月下旬のドラギECB総裁発言に端を発した今回の相場は、後者の要因を刺激した。
日銀は遅れるが今年後半には「出口の可能性には言及する」と見ている。
日欧の金利がジワリ上昇すれば、米の上げ余地になるとの考えだ。
ただし、実際のFRBはバランスシート縮小を先行させ、60%ほどの確率で次回利上げを来年3月まで先延ばしすると予想。
イエレン議長の退任・続投には言及していない(18年2月期限)が、退任を意識している様だ。
昨日はポジション調整的な動きも出た。
金相場が今年最大の下げとなり、原油相場は8営業日続伸した。
何らかのヘッジ的ポジション(リスク回避の金買い、原油ヘッジ売り)が解消された可能性がある。
NY金相場は一時1218.50ドル/トロイオンス、約2%安。
銀先物も3.2%安。
一方、WTI原油相場は1.03ドル高の47.07ドル/バレル、米国の掘削リグ数減少が材料視された。
日本株はややもたついた印象があったが、欧州株を中心に株高。
米株はハイテク株調整(ナスダック-0.49%)が残った格好。
株式にもヘッジポジション解消の動きがあったものと思われる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/7/4号)