■30日からトレファク店舗で本格導入を開始、31日の株価は逆行高
トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)は3月30日、ALBERT(アルベルト)<3906>(東マ)とEC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ(clothes+scanner)」を共同開発し、同日からトレファク店舗で本格導入を開始と発表した。これにより、EC出品業務にかかる作業負荷を軽減し、EC出品商品数の10%増加を目指す。
31日のトレジャー・ファクトリーの株価は、朝方軟調だったものの切り返し、午前10時にかけては1029円(4円高)と全体相場の下げに逆行高となっている。ALBERTも高い。
■画像からAIが自動採寸し素材情報を抽出、出品業務の効率化をサポート
コロナ禍における非接触型の新しい生活様式の広がりによって、急速なデジタルシフトが求められるなか、全国にグループで220店舗以上のリユースショップを展開するトレジャー・ファクトリーでは、アプリでの買取完了通知やリアル店舗とECの双方向誘導など、リアルとネットを融合したサービス運営を行っている。また、コロナ禍を背景にしたオンラインでのサービス利用ニーズの拡大に伴って、ECサイト「TREFAC FASHION(トレファクファッション)」や「トレファク ONLINE」等への出品数増加による販売チャネルの強化や、利便性の高いオンライン買取サービスを提供し、仕入れチャネルの拡大などに取り組んでいる。
そのような中、更なるEC事業の強化を目指して、ビッグデータ分析、AIアルゴリズム開発、AIシステム実装等を提供するALBERTと共同で「クロスキャナ(clothes+scanner)」の開発に至った。
■「クロスキャナ(clothes+scanner)」概要
「クロスキャナ」は、clothes(クロス:衣服)とscanner(スキャナー:画像を読み込みデータに変換する装置)の2つの言葉を組み合わせており、撮影した画像から衣類の自動採寸とタグ読み込みという2つの機能を持つ本システムの特徴を表している。
「ささげ(撮影・採寸・原稿作成)」業務と呼ばれるEC販売商品の情報作成業務は、専門性が求められる要素は少ない一方、撮影した画像の編集、衣類の採寸、素材情報の確認及び原稿作成などの作業が必要なため、これまでECに出品できる商品数には一定の制限があった。また、撮影画像からの自動採寸を行う場合、衣類の採寸箇所の長さが正しく画像に反映されるために、衣類は平置きにして真上から撮影した画像を使用することが望ましいとされる。一方で、撮影スペースの限られる店舗では衣類を平置きにして撮影するスペースを確保することが難しく、ハンガーがけの画像からでも採寸できる必要があった。
今回導入した「クロスキャナ」では、実際のオペレーションに合わせて、ハンガーで壁掛けした状態でもEC出品用に撮影した画像から高精度な自動採寸が可能であり、設備の簡便さと高精度を両立した。衣類のアイテムごとに異なる機械学習モデルや、衣類タグに特化したOCRを用いたモデルを構築しており、汎用的なモデルでは難しい高精度を実現している。
また、タグ情報を読み取る際に、必要な情報だけ抽出して認識する等の情報選別機能など、既存の業務フローに即して設計することで、現場でのスムーズなシステム利活用を推進する。さらに「クロスキャナ」では、輸入品の衣類のタグも読み取れるよう日本語を含む9ヵ国語に対応している。これにより、ささげ作業の大幅な効率化を図りECの出品数が増えることで、更なる販売機会の拡大につなげる。
■ECと実店舗での包括的な活用に向けてさらに機能開発を推進
今後は、「クロスキャナ(clothes+scanner)」の更なる精度向上、また衣類以外の取扱商品の拡充などに取り組むことにより、仕入れからEC出品までをシームレスに実施する機能の開発を推進する。また、ECだけでなく実店舗でのデータ・AI活用も視野に入れたDXを促進し、リアルとネットの融合による提供サービスの価値向上を目指す。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)