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エレマテック Research Memo(3):プロダクトミクス変化で利益率が改善し、前期比増益で着地

発行済 2018-06-20 15:16
更新済 2018-06-20 15:20
エレマテック Research Memo(3):プロダクトミクス変化で利益率が改善し、前期比増益で着地
■業績の動向

1. 2018年3月期決算の概要
エレマテック (T:2715)の2018年3月期決算は、売上高196,238百万円(前期比3.3%減)、営業利益6,480百万円(同19.9%増)、経常利益6,085百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,376百万円(同226.0%増)と、減収ながら大幅増益で着地した。


直前の会社予想との比較では、売上高は4.3%の未達となったが、利益面では営業利益以下の各利益項目が会社予想を10%前後上回った。
売上高及び各利益項目がいずれも、過去3番目の水準となり、数値的には好決算と評価できるものだったと弊社では考えている。


2018年3月期の業界環境は、IoT関連需要や自動車の電装化率上昇の追い風で電子部品等の生産は好調だった。
また白物家電も全体としては市場が拡大した。
一方中小型液晶ディスプレイ市場は、スマートフォン販売が世界最大の中国市場で低迷した影響や、有機ELディスプレイ搭載モデルの増加の影響などを受けた。


こうした市場環境のなか、同社は自動車向けの関連部材やテレビ向けディスプレイ関連部材などに注力して販売を伸ばしたものの、中小型液晶ディスプレイ市場をめぐる急速な環境変化の影響が大きく、全社の売上高は前期比3.3%減収の196,238百万円となった。


一方、利益については、主としてプロダクトミクスの改善により売上総利益率が前期の8.4%から今期は9.6%に、1.2ポイント改善し、売上総利益は前期比10.3%増の18,886百万円となった。
販管費においては人件費や荷造運賃が増加したものの、販管費全体の伸びは前期比5.8%増にとどまったため、営業利益は前期比19.9%増の6,480百万円となった。
営業利益率は3.3%となり、前期の2.7%から0.6ポイント改善した。


親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が前期比226.0%増と大きくなっているのは、2017年3月期において特別損失の計上によって親会社株主に帰属する当期純利益が大きく圧迫されたことの反動によるものだ。


2018年3月期決算について弊社では、前述のように数値的に好決算だったことに加え、事業環境の変化に対する同社の適応力の高さを証明したという点で、意義深い決算であったと考えている。
スマートフォン市場をめぐる環境変化で同社の主力商材である中小型液晶ディスプレイ向け部材は大幅減収となった。
そうしたなかでも自動車や産業機器等向けなどの商材を着実に伸ばして増益を確保した。
詳細は後述するが、ローリング3ヶ年中期経営計画における最終年度(2021年3月期)の業績計画では、売上高の総額こそ1年前の計画と同じだが、そのマーケット別内訳は大きく様変わりしている。
こうした切り替えができる点が同社の最大の強みだと弊社では評価している。



AutomotiveとBroad Marketが順調に拡大し、Digital Electronicsの減収をカバー。
売上総利益率の改善にも大きく貢献
2. マーケット別動向
Digital Electronicsの売上高は前期比13.3%(17,184百万円)減の112,123百万円となった。
第2四半期決算時の修正計画値である119,108百万円に6,985百万円の未達となり、全社売上高の計画比ショート額8,762百万円の大部分を占めた。


Digital Electronicsの大幅減収は、液晶・TP・BL(TP:タッチパネル、BL:バックライト)の売上高が前期比22,890百万円減少したことが最大の要因だ。
これらは中小型液晶ディスプレイ向けの部材であり、最終需要先はスマートフォンやタブレットとなっている。
今期はスマートフォン市場の成熟化や、スマートフォンへの有機ELパネルの採用本格化などの影響を考慮し、期初から大幅減収を見込んでいたが第2四半期決算ではそうした悪影響が顕在化しなかった。
しかし、下期に入って懸念が現実化し、結果的に当初想定以上の減収となった。
黒物家電(主としてアジア諸国でのテレビ・モニター用大型液晶ディスプレイ向け部材)やTOY・ホビー(ゲーム機等向けの各種部材)が前期比増収となったが、液晶・TP・BLの減収幅を完全に埋めるには至らなかった。


Automotiveの売上高は前期比32.9%(6,181百万円)増の24,966百万円となった。
計画に対しても361百万円上回って着地した。
全社売上高に占める構成比は、通期ベースで12.7%となり初めて10%の大台を超えた。
商材の中身はヘッドライト部材、内装用部材、センサー類、各種電子部品など多岐にわたるが、全般に売上げを伸ばしたとみられる。
自動車ビジネスではモデルチェンジサイクルを見据えた営業活動や共同開発などが不可欠だ。
同社もそれに地道に取り組んできたが、それが徐々に収穫期を迎えつつあるとみられる。


Broad Marketの売上高は前期比7.7%(4,237百万円)増の59,148百万円となった。
計画に対しては2,139百万円の未達で着地した。
産業機器等は中国での設備投資活況を受けて機械・FAメーカーが売上げを伸ばした恩恵で増収となった。
アフターマーケットはバックモニターカメラ用部材やドライブレコーダー用部材などが伸長した。
インフラ・エネルギーの減収は太陽光発電向けビジネスの縮小によるものだ。


上記の3つのマーケット別区分のうち、Digital Electronicsは売上総利益率が相対的に低く、AutomotiveとBroad Marketは相対的に高い。
2018年3月期はDigital Electronicsが減収となり他の2つのマーケット区分が増収となったため、いわゆるプロダクトミクスの変化により、売上総利益率の改善につながった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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