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メタバースの隆盛で注目を集めるMatterport株に対する3つの投資アイディア

発行済 2021-12-08 11:02
  • 空間データ会社MTTR株は7月下旬の上場以来、80%程度株価が上昇

  • Matterportの3D技術を利用することで、デジタル・ツインを現実空間上に作り出すことが可能となり、メタバースに強気を見通しを有する投資家の注目を集める

  • メタバース市場にポジションを保有したい長期目線の投資家はMTTRの購入を検討する余地あり。特に25ドル以下となれば魅力的なエントリー・ポイントンとなりうる

  • ソフトウェア・アプリの開発を手掛けるMatterport (NASDAQ:MTTR)は空間データのデジタル化および指数化を行う技術に注力しており、7月下旬に特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場した同社株は投資家にとって驚くほどのリターンをあげている。上場来同社株価は80%近く上昇している。ハイテク株の組み入れが多いNASDAQ 100指数の同期間におけるリターンが5%程度であることを勘案すると、同社のパフォーマンスが突出していることがわかる。

    MTTR Weekly

    12月1日に同社株は37.50ドルに達し上場来高値となった。その後株価は30%以上低下し、月曜日の引け時点では23.36ドルで取引されている。同社の時価総額は59億ドルである。

    2011年の創業以来、同社は空間データ事業を伸ばしてきた。空間データとは「地上もしくは地上付近にある物体やイベントなどの地理的特徴を表す情報」のことであると、International Business Machines (NYSE:IBM)は説明する。

    Matterport社の3Dプラットフォームを利用すると、「空間をデジタル・ツインへと変えることが可能となる。デジタル・ツインとは現実世界とバーチャル世界が混ざり合い、メタバースとなる空間のことである」としている。

    10月下旬にFacebook (NASDAQ:FB)が社名をMeta Platformsに変えてから、投資家はMatterportのような企業に注目し、メタバース分野における恩恵にあずかろうとしている。実際、この2社はすでに共同し、「フェイスブックのAIシミュレーション・プラットフォームであるHabitatを進化」させようとしている。

    また、建設業、不動産業、旅行業もMatterportのプラットフォームを利用している。同社は3D認識を行うモバイル・アプリも手掛けているのだ。

    Matterport社は11月3日に第3四半期決算を発表した。収益は27.65百万ドルで前年比10%上昇している。また、サブスクリプションからの収益が15.7百万ドルに上り、前年比36%であることも投資家の目を引いた。ただし、non-GAAP指標による純損失は14.03百万ドルとなり、1株あたり6セントの損失が出ていることになる。

    四半期決算の発表前に同社株は25ドル近辺で取引されていた。12月1日には37.60ドルまで上昇したが、足元は23ドルをわずかに下回る水準で推移している。

    Matterport株から期待できること

    Investing.comの調査では5人のアナリストはいずれも同社株を「買い」とした。

    MTTR Consensus Estimate

    出所:Investing.com

    アナリストの今後12ヶ月の株価予想中央値は30.20ドルで、足元の価格よりも30%値上がりすることを示唆している。12ヶ月の株価予想は25ドル~38ドルのレンジとなっている。

    バリエーション・モデルによる分析を行い、配当、株価収益率マルチプル、10年スパンのディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)を用いた出口などを勘案すると、同社の平均適正株価は19.05ドルとなる。

    また、情報技術セクターのその他の競合他社との比較で100以上のファクターを用いて同社の財務健全性をみることもできる。総合スコアは5点満点中3点で、パフォーマンスは悪くない。

    過去12ヶ月間における株価純資産倍率および株価売上高倍率をみると、それぞれ31.3倍、59.9倍となっている。これらも同セクターの競合他社と比較すると、業界平均はそれぞれ2.3倍と2.0倍だ。グロース株の中でも、同社はかなり割高な水準にある事がわかる。

    テクニカル分析を好む投資家におっては同社の短期インディケーターが警告を発していることも重要な注意事項であろう。今後も特に足元みられているハイテク株の売り圧力を勘案すると、短期的には同社株に対しても利益確定の売りがみられると想定している。

    同社株が今後も25ドルを下回る水準で推移し、22ドルに向かうような展開となれば、サポートを得ることになるかもしれない。その後は22ドル~25ドルのレンジ内での推移となり、新たなベースを築くことになるだろう。その後は、上昇基調が始まるとみている。

    同社の時価総額は60億ドルほどであるが、今後は数四半期にかけて、堅固な成長が期待できる。また、有力な買収候補となるかもしれない。

    Matterport株に対する3つの投資アイディア

    1. 現在の株価で同社株を買う

    長期投資家で日次の変動が気にならないような投資家であれば、現在の水準で同社株を買うことを検討すると良い。

    12月6日に同社株は23.36ドルで引けた。バイ・アンド・ホールドの投資家であれば、数カ月間は保有を継続し、アナリスト予測である30.30ドルを試す展開になるまで待つことができる。同水準まで値上がりすればリターンは30%を超えるものとなる。

    もし、今後の値下がりが不安であれば、ロスカットを3~5%の下落に設定するのが良いだろう。

    2. MTTRを組み入れているETFを購入する

    同社株に直接資金を投じたくないが、同社へのエクスポージャーを持ちたいと考える投資家であれば、同社株を組み入れているファンドに投資するのが良いかもしれない。

    このようなETFとしては下記のものが挙げられる。

    • The De-SPAC ETF (NYSE:DSPC): 当ETFは5月の上場以来18%下落しており、同社株の保有比率は6.12%だ。

    • Defiance Next Gen SPAC Derived ETF (NYSE:SPAK): 当ETFの年初来リターンは-22.2%であり、同社株の保有比率は1.07%だ。

    もし、同社株やその他SPACを通じて最近上場した企業に対して短期的には弱気である場合にはインバースETFであるThe Short De-SPAC ETF (NYSE:SOGU)を購入すると良い。

    5月の上場以来、SOGUは横ばいでの推移となっている。インバースETFの長期保有ではなく、短期取引に適している。また、広範な投資家向けの商品でもないことには注意してほしい。

    3. キャッシュ・セキュア-ド・プットの売りを検討する

    同社株にとっては強気であるか、同社株を現在の水準よりも低い株価で買いたいと考えている投資家であれば、同社株のキャッシュ・セキュア-ド・プット・オプションの売りを検討すると良いかもしれない。上記の通り、このような取引は一般的な投資家向けのものではないと注意しておく。

    プット・オプションは、同社株を100株売却する権利を有する。キャッシュ・セキュア-ドというのは、投資家は株価が下がり、権利が行使された場合に、株を購入するのに十分な資金が証券口座にあることを意味する。

    同社株が欲しい投資家がいるが、この人は現在の株価水準では買いたくないと仮定する。今後数ヶ月のうちに株価が下がったところで買うこともできる。

    同社の株は今後下がるかもしれないし、下がらないかもしれない。このとき、キャッシュ・セキュア-ド・プット・オプションを売るというのも一つの取りうる手段だ。

    このとき、アット・ザ・マネー(ATM)となっているか、アウト・ザ・マネーと(OTM)となっているプット・オプションを取得し、同時に100株買うだけの十分な資金を用意することになる。

    このプット・オプションの売りが2022年2月18日まで有効だとしよう。OTMのオプション取得時の株価が23.36ドルで、権利行使価格が22.50ドルだとする。

    この投資家は株価が22.50ドルに下がったら、プット・オプションが行使され、同社株を100株購入することになる。

    2022年2月18日までの、権利行使価格が22.50ドルのプット・オプションは現在4.10ドルのプレミアムで取引されている。

    したがって、この投資家は4.10ドル×100株、つまり410ドルを支払ってこのプット・オプションの売りを購入する。オプションの取引相手は株価がどうなろうとこの410ドルを受け取ることができる。オプションの有効期限は2022年2月18日(金)だ。

    現在の株価水準である25.51ドルでこのオプションの取引する相手方のことも考えてみよう。取引コストなどを無視すれば、取引相手の最大の利益は410ドルとなる。

    取引相手は同社株が権利行使価格である22.50ドルを上回って推移した場合には最大利益の410ドルを受け取ることができる。オプションは権利行使されることなく失効するからだ。

    プット・オプションが期限の2022年2月18日までにイン・ザ・マネー(同社株価が22.50ドル以下となっているような状況)になっている場合、このプット・オプションは権利を行使することができる。オプションを行使した投資家は同社株を22.50ドルで100株(つまり2,250ドル)買うことになる。

    オプション・プレミアムである4.10ドルの支払い分も勘案すると、実際の損益分岐点は18.40ドルだ。この価格以上だと投資家は損失を出すことになる。

    キャッシュ・セキュア-ド・プット・オプションの売りは現在の価格で株を購入するよりも保守的な株の買い方である。今後数週間同社株は変動が激しくなると考えられ、有効な取引手段になるかもしれない。

    プット・オプションの売りで同社株を購入できた投資家はその後、カバード・コールを用いてリターンの向上を図るのを検討しても良い。株価の購入方法としてキャッシュ・セキュア-ド・プット・オプションの売りを検討してみてはいかがだろうか。

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