[ドバイ 16日 ロイター] - サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ (SE:2222)は16日、複数年限のドル建て債券発行に向け、ゴールドマン・サックス (N:GS)やシティ (N:C)、HSBC (L:HSBA)、JPモルガン (N:JPM)、モルガンスタンレー (N:MS)、NCBキャピタル (SE:1180)などと契約した。
証券取引所への提出書類で明らかとなった。
幹事団の1社が明らかにしたところによると、引受シンジケート団の中にはみずほ (T:8411)や三菱UFJ (T:8306)、SMBC日興 (T:8316)の名前もある。●ここまでRIC挿入
発行する債券は3、5、10、30年が各5億ドル超。市況次第で50年債を発行する可能性もあるという。●ここから今回の起債規模の詳細は明らかにしていない。アラムコは昨年、国際債券市場で初の起債を実施し、120億ドルを調達。その際には1000億ドルを超える需要があった。●ここまで
原油安とコロナ禍に見舞われた中東の石油会社は今年、債券市場で多額の資金調達を行っており、年初来の発行額はすでに1000億ドルを突破している。
アラムコは2020年下期に配当375億ドルの支払いを予定。また、石油化学大手サウジアラビア基礎産業公社(SABIC) (SE:2010)の株式70%を691億ドルで取得しており、資金の調達が必要になっている。
ある市場関係者は「投資家が利回りを探し求めている世界では、需要が不足することはないだろう。ただ、原油安の継続や、長期的なキャッシュ創出力への不安が、プライシングに反映されるだろう」と述べた。
リフィニティブのデータによると、アラムコのドル建て既発債(2029年償還)の利回りは16日時点で2.05%。同年限のサウジ国債の利回りをやや上回っている。
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関係筋の1人は、先週ドバイ・イスラム銀行がイスラム債を低コストで発行できたことを挙げ、起債には追い風の環境にあるとの認識を示した。
一方、フィッチ・レーティングスは10日、アラムコの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更。国家が戦略的方向性、課税、配当を通じてアラムコに影響を与えているほか、石油輸出国機構(OPEC)のコミットに沿った水準に生産を規制していることを反映している、と説明した。
ロイターが入手した目論見書によると、投資家へのリスク説明には、新型コロナウイルス感染拡大のほか、サウジ政府が石油生産や余剰生産設備にかかる意思決定を行う点が指摘されている。「アラムコが政府の意思決定に従うことは、アラムコの収益を最大化しない可能性がある」とし、減産の可能性に言及している。
*内容を追加しました。