Julia Payne
[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)議長国を務めるスペインのリベラ・エネルギー相は、現時点でロシア産の液化天然ガス(LNG)の輸入を禁止する計画はないと述べた。価格高騰の懸念があるとしている。
ロシアはウクライナ侵攻に伴う経済制裁でエネルギー収入が減少しているが、LNGは依然として大きな収入源となっている。
1─7月の欧州のロシア産LNG輸入はウクライナ侵攻前の2021年1─7月との比較で40%増加。EUは27年までにロシア産化石燃料の使用を中止することを目指しているが、輸入鈍化の兆しは見られない。EUはロシア産の原油と石油製品についてはすでに海上輸入を禁止している。
同相はロイターに「不足感、懸念がある」と昨年の欧州のエネルギー危機に言及。
「ロシアとウクライナの状況が変わらなければ、遅かれ早かれ、そうした措置(禁止措置)が取られることになるだろう。ただ昨年、混乱した経緯があり、欧州委員会と加盟国は、当面はさらなる混乱を回避するため、事態が平和的な方法でどのように進展するかを見守りたいと考えている」と述べた。
ロシア財務省によると、1─8月の同国の石油・ガス収入は前年比38.1%減少したが、ブリュッセルのコンサルティング会社ブリューゲルによると、22年3月─23年2月の欧州のロシア産LNG輸入額は120億ユーロ(128億5000万ドル)だった。
スペインはロシア産LNGの輸入が世界で2番目に多い。
同相は「こうした状況を望ましく思っていない。国内にインフラがあり、LNG市場への新規参入企業が(ロシア産LNGを)輸入・貯蔵し再輸出する体制を整えている」と指摘。政府として輸入差し止めに向けた措置を検討したが、対外貿易のため、EUの合意なしに輸入を禁止する法的根拠が見つからないと説明した。
「われわれは企業に対し(ロシアと)新たな契約を結ばないよう、LNGの購入先の透明性を高めるよう要請している」と語った。