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ピクセラ Research Memo(5):AV関連事業は4K映像対応STBをベースに新事業を拡大(2)

発行済 2018-12-21 15:05
更新済 2018-12-21 15:20
ピクセラ Research Memo(5):AV関連事業は4K映像対応STBをベースに新事業を拡大(2)
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■ピクセラ (T:6731)の事業戦略

3. 家電事業の今後の見通し
(1) 事業戦略
国内の家電市場は人口動態を考えても成長市場とは言えないが、カテゴリーによって成長やシェアの変動がみられる。
そのため、動きの見込めるカテゴリーを見極めて参入する必要性があるとともに、競争戦略が重要となる。
A-Stageは、国内大手メーカーとの競争を避け、国内大手メーカーと比べてブランド力の劣る海外大手メーカーや国内準大手メーカーを競争相手に選んでいる。
また、国内大手メーカーが単価を高く設定できる家族世帯向けの高機能製品に注力しているなか、A-Stageは今後も増加が見込まれる単身世帯向けを中心に製品を展開している。


家電量販店における白物家電の販売が堅調に推移しているとみられるなか、特にキッチン家電においては、インテリアと調和したカラー、外形等のデザイン性で選ばれる傾向が表れているためか、家電量販店の店頭では製品のバリエーションが増えており、A-Stageもデザイン性を重視した製品を投入している。
A-Stageは市場規模8千億円超(A-Stage調べ)とみられるキッチン家電に引き続き注力していくほか、市場規模4千億円程度(同)とみられる美容家電への参入も検討している。


さらに、今後は宿泊施設や飲食店等を含む業務用の販路開拓を進めるとともに、ショップブランドとしての供給も拡大していくこととしている。
これらにより、A-Stageは2022年3月まで年平均成長率25%での売上高の成長を目指している。


(2) 今後の成長における課題
A-Stageの現在の事業規模や買収以前の成長率からすれば、2022年3月まで年率25%成長を実現することは可能な範囲と思われるが、そのためにはシェアを高めて競争に勝ち残っていく必要がある。
売上げを積み上げるには、既存製品の販売先を拡げるだけでなく、競争力のある新製品を投入し続けるとともに、新製品が売上げを確実に上げて、競合に取り返されることなく定番化されなければならない。
そのためには、ロイヤルカスタマーを作っていくこと、すなわち、事業構造改革の1つに掲げているブランド構築が重要となる。
ロイヤルカスタマーを作っていくためには、顧客の購買動向を知る必要があり、自社ECサイトによる直販の強化も求められる。
同社はA-Stageの自社ECサイト強化の必要性を認識しており、新たにA-Stageのオリジナルサイトを構築することも検討している。
また、ブランド構築においては、製品それ自体の購入時点や使用中の満足感だけでなく、少なくとも競合メーカーと同等以下の不良率に抑える品質管理が重要となることから、統合効果として品質管理体制が一層強化されるよう期待したい。


A-Stageの競争上の強みは、参入する市場や製品を見極める目利き力、製品を差別化するセンスと、調達先や販売先からの信用にあるものとみられる。
特に販売先からは、デザインを含めて競合製品にはない製品の提案力と、対応の迅速さや柔軟性が評価されて導入につながっているとのことである。
これらの強みはいずれも属人性が高いと言えるため、事業規模の拡大に応じて新たな社員を増やしていったのでは、現社員と同等以上の能力を持った人材を確保し続けることが難しくなり、業務品質の低下を招く可能性がある。
業務品質の低下により大きなミスが1つ起きれば、不良在庫を多く抱えたり、品質不良を発生させるなどして、業績面においてダメージを受けることになりかねない。
その意味においても、同社とA-Stageが各々で部分最適な体制を構築していくのではなく、同社の人員や経験・ノウハウを含む有形無形の経営資源を有効活用して、いかにシナジーを実現していくかが重要となるだろう。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)

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