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井関農 Research Memo(5):2023年12月期は増収減益、連結売上高、海外売上高は過去最高を更新(1)

発行済 2024-04-10 14:35
更新済 2024-04-10 14:45
© Reuters.
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*14:35JST 井関農 Research Memo(5):2023年12月期は増収減益、連結売上高、海外売上高は過去最高を更新(1) ■業績動向

1. 2023年12月期の業績概要
井関農機 (TYO:6310)の2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比2.0%増の169,916百万円、営業利益が同36.2%減の2,253百万円、経常利益が同44.4%減の2,092百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同99.3%減の29百万円となった。
国内、海外事業がいずれも増収だったことを受け、連結ベースの売上高は過去最高を更新した。
特に海外に関しては欧州事業が引き続きけん引役となり、3期連続で過去最高売上を更新した。
営業利益に関しては、生産量の減少による操業度の低下を受け、売上総利益率がわずかながら低下したことに加えて、販管費の伸びが売上の伸びを上回ったことなどにより減益となった。
経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、有利子負債の増加に伴い支払利息が増加したこと、2022年12月期に計上したISEKIドイツの連結子会社化に伴う特別利益剥落の反動があったことなどが影響した。


国内売上高については、前期比0.4%増の113,060百万円だった。
農機製品の売上高は前期を下回ったものの、中期経営計画のビジネスモデル転換でサービス提供に注力するなか、メンテナンス収入が伸長した。
加えて、大型農業用施設の受注があったことも増収に寄与した。
農機製品に関しては、新たに市場に投入した新型の中型トラクタBFシリーズの販売が好調だったほか、トラクタ・コンバインの直進アシスト仕様が顧客から評価され、スマート農機の売上高が前期比20%増と急伸した。
一方で、全体的に需要が弱含みで推移したこと、価格改定実施に伴う駆け込み需要の反動があったことなどが減収要因となった。
また、大型農機の拡販に注力するなかで、顧客からの引き合いは好調だったものの、生産遅延などにより好調なニーズを業績に取り込みきれなかったことも影響した。
品目別の売上高は、トラクタなどの整地用機械が前期比3.6%減の22,083百万円、田植機などの栽培用機械が同8.5%減の7,235百万円、コンバインなどの収穫調製用機械が同2.2%減の15,741百万円、メンテナンス収入などの作業機・補修用部品・修理収入は同1.1%増の42,506百万円、施設工事などのその他農業関連は同7.5%増の25,493百万円だった。


海外売上高に関しては、前期比5.3%増の56,855百万円だった。
引き続き欧州市場がけん引役となり、3期連続で過去最高売上を更新した。
欧州地域の売上高は、同32.3%増の33,262百万円と急伸した。
値上げ後も小売店の需要が堅調に推移したことに加えて、2022年12月期下期よりISEKIドイツ社を連結子会社化したことなどがトップラインを押し上げた。
また、ISEKIフランスの業績が堅調に推移したことも寄与した。
北米地域の売上高は、同26.8%減の14,298百万円だった。
パートナーであるAGCO社では、無金利ローンの期間を延長するなどの各種販売施策を実行したものの、コンパクトトラクタ市場の調整局面が継続したことが響いた。
アジア地域の売上高は、同5.7%減の8,139百万円だった。
南部での育苗栽培促進等により田植機関連の生産用部品の出荷が中国において好調だったものの、米価低迷などの影響による需要縮小を受けて韓国向けの出荷が減少したことが響いた。


2023年12月期のトピックスとしては、2023年6月にアーリーステージにあるベンチャー企業等を対象として出資枠10億円を設定したことがあげられる。
同社はこれまでも環境保全型スマート農業推進の一環としてスタートアップ企業である有機米デザインへの出資(2022年6月)をした実績がある。
みどりの食料システム戦略や食料・農業・農村基本法の見直しが議論されるなど、同社を取り巻く事業環境や農業そのものの構造が大きな転換点を迎えている。
そうしたなかで、今回の出資枠設定により、同社の強みである連携によるイノベーションをさらに加速させ、農業が直面する諸課題の解決に事業を通じて貢献していく考えだ。
具体的な出資分野としては、自動化や電動化に資する先端技術・ICT分野、環境分野、6次産業化への参画など食料自給率向上に資する分野などを有望視しており、国内外のベンチャー企業との協業により新規製品・サービス・ビジネスモデルの創出を目指す。
この方針の下、直近では、農機関連システムの共同開発及び営業連携を目的としてウォーターセル(株)との資本業務提携を実施している。
同社とウォーターセルは2018年より協業を開始し、農機データ管理システム『ISEKIアグリサポート』と営農支援ツール『アグリノート』のデータ連携を通じて、農業ICTを活用した農業経営の効率化を推進してきた。
今回の資本業務提携によって連携をさらに強化し、事業活動を通じて農業界の課題解決に貢献していく考えだ。
その他のトピックスとしては、同社が環境保全型スマート農業への取り組みを強化するなか、フェイガーとの業務提携、(有)かごしま有機生産組合(鹿児島県熊毛郡南種子町)との連携協定を締結している。


2. 中期経営計画の進捗状況
資本効率と収益性向上に向けた抜本的構造改革に関しては進捗が想定よりも遅れているものの、各取り組みにおいて確実に進捗が見られた。


(1) ベストソリューションの提供:選択と集中(国内市場)
国内市場においては、引き続き大規模農家への営業活動に注力したほか、新たに市場に投入した中型クラスの新型トラクタ「BFシリーズ」の販売も好調に推移した。


(2) ベストソリューションの提供:選択と集中(海外市場)
海外市場に関しては、欧州市場が引き続き好調となり、全体のけん引役となった。
欧州においては、限定販売している電動モーアに対する市場の評価も高く、本格販売に向けて顧客意見の集約などを実施している状況である。
その他、ISEKIドイツとISEKIフランスを中心としたサプライチェーンの効率化と販売体制の強化も着実に進捗を見せ、業績に貢献した。


(3) ベストソリューションの提供:選択と集中(商品開発戦略)
国内市場においてはボリュームゾーンである中型トラクタを10年ぶりにモデルチェンジし、BFシリーズを新たに市場に投入した。
強化された操作性、居住性、安全性に対する評価に加えて、高級感のあるデザインに対する顧客からの評価は高く、販売も好調だった。
また、環境対応としては前述のとおり、欧州において電動モーアが量産化に向けた準備を行っている状況である。


(4) ベストソリューションの提供:ビジネスモデル転換
同社が進める事業構造改革の一環としてメンテナンス収入が引き続き好調だった。
2023年12月期においては、国内売上増収のけん引役となった。


(5) 収益とガバナンス強化による企業価値向上:収益性改善(構造改革・経営効率化)
国内の松山製造所で生産していた一部製品をPT ISEKIインドネシアへ生産移管したほか、PT ISEKIインドネシアを中心とした生産体制・サプライチェーンの再構築によって、最適価格で生産できる体制を構築するなど、各種取り組みを進めたものの、収益性改善は道半ばの状況である。
新たに「プロジェクトZ」を発足し、短・中期の時間軸で聖域なき事業構造改革を断行していく。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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