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井関農 Research Memo(8):「変革」をキーワードにさらなる100年企業を目指す(1)

発行済 2024-04-10 14:38
更新済 2024-04-10 14:45
© Reuters.
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*14:38JST 井関農 Research Memo(8):「変革」をキーワードにさらなる100年企業を目指す(1) ■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画とプロジェクトZ
井関農機 (TYO:6310)はこれまで、創立100年を迎える2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、各種施策に取り組んできた。
基本戦略の下に、各種取り組みを着実に実行してきたものの、2023年12月期終了時点においては、売上高に左右されることなく利益を確実にあげることができる事業構造への転換は道半ばである。
これは、中期経営計画で定めた基本戦略と取り組みの方向性は間違ってはいなかったものの、主に資産効率と収益性向上を目的とした事業構造改革への取り組みが不十分だったことが要因である。
そうしたなかで同社は、「プロジェクトZ」を新たに発足し、改めて短・中期の時間軸のなかで、資産効率と収益性を向上させながら成長を加速させるための具体的な施策を立案した。
「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」という3つの切り口から聖域なき事業構造改革を断行していくことにより、2027年12月期に連結営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上、PBR1倍以上の達成を目指す。


2. 中期経営計画~次の100年に向け、「変革」の土台を整える~
中期経営計画のキーワードは「変革」である。
2025年のその先、さらなる100年企業を目指して、そのための礎づくりを行っていくという想いが込められている。
基本的な戦略は以下の2つに大別される。


(1) ベストソリューションの提供:製品だけでなくモノからコトへ「サービス」の提供に注力
(2) 収益とガバナンス強化による企業価値向上:売上高に左右されることなく収益を確実に上げられる筋肉質への体質転換

基本戦略の下、「選択と集中」、「ビジネスモデル転換」(これら2つはベストソリューションの提供に入る)、「収益性改善」、「ESG」(これら2つは収益とガバナンス強化による企業価値向上に入る)という4つの切り口から事業の拡大と収益性の向上に注力していく。
プロジェクトZでは主に、「収益性改善」の部分に焦点を当てて「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」という3つの切り口から短・中期の時間軸で抜本的構造改革を推し進めていく考えだ。


1) 選択と集中
具体的な取り組みとしてまずは「選択と集中」が挙げられる。
外部環境の変化に呼応する形で有限である社内のリソースを効率的に活用していくことを目指す。


国内市場の販売活動においては、農業経営体が大規模化しているなか大規模農家顧客のさらなる拡大を図ること、トラクタ、コンバイン、田植機カテゴリーの大型農機フラッグシップモデルであるJapanシリーズの販売に注力することを基本的な方針として掲げている。
また、昨今の農業へのICT導入の流れを受け、「ロボットトラクタTJ Vシリーズ」や「さなえPRJ8ロボット田植機」などスマート農機の販売にもリソースを重点配分することを計画している。


海外市場の販売活動については、各地域のニーズに即した製品の販売に注力する。
北米においては、コンパクトトラクタ市場でのシェア拡大を目標にグローバル戦略パートナーであるAGCOのコンパクトトラクタなどの販売に注力するほか、環境意識への高まりを受けて、環境対応等の新商品も投入していく方針だ。
欧州では、景観整備市場でのさらなるシェア拡大を目指して景観整備用トラクタの販売に注力するほか、環境意識の高まりを受けて電動化製品の新規投入にも注力していく(好評を博している電動モーアは、2024年中に量産化予定)。
加えて、シェア拡大のために連結化も視野に販売網の再構築を行っていく考えで、2022年7月にはISEKIドイツを連結子会社化し、欧州における販売体制の強化を図っている。
アジアにおいては、日本で培った稲作ノウハウ・農機を展開しながらタイのIST社を起点に事業を拡大・加速する計画である。
また、インドの業務提携先農機メーカーであるTAFE社の生産機を拡販することも計画している。
「プロジェクトZ」では海外事業の拡大スピードを新たに提示しており、2030年までに売上高CAGR10%、営業利益CAGR20%の成長を追求していく。


商品開発、特に将来に向けた先行開発においては、「グローバル戦略機の開発」「電動化製品の開発」「スマート農機の開発」の3つを主な重点施策として掲げている。
「グローバル戦略機の開発」については、トラクタ、コンバイン、田植機のカテゴリーごとに共通のプラットフォームを開発することにより、開発のコスト削減と効率化を実現する考えだ。
「スマート農機の開発」においては、レベル3(完全無人型の遠隔監視型ロボット農機)の本格的な普及に向けて対応する農機の開発に注力する。
今後、農家が大規模化するなかでより効率的な農業が求められてくること、データを基にした様々な新規ビジネスが生まれる可能性があることなどを考慮すると、スマート農機の開発に注力することは非常に重要であると弊社は考えている。


2) ビジネスモデル転換
モノを売り切るビジネスに比べてサービスで継続的に収益を稼ぐビジネスモデルの優位性が広く認識されているなか、同社も従来の農機売り切りが中心のビジネスモデルから「データ」を軸にしたサービスの提供、修理・メンテナンスなどで継続的に収益をあげるビジネスモデルへと転換を図る計画である。


具体的には現在、全地球測位衛星システム(GNSS)を活用した安価で高精度な位置情報サービス(ロボット農機や自動操舵機能が付いた農機の稼働に必要となる)を月額3,300円で提供し、顧客のアンテナ建設の初期費用を抑えている。
今後は、スマート農機から得られるデータを基にしたコンサルティング業務、データの外販、「Amoni」で提供している情報の有料化などの新規ビジネスが考えられるだろう。
現在でもICTを搭載した農機を市場に投入している同社は、農機や農作業に関するデータを収集できる体制が整っており、今後はアイデア次第でデータを収益化するビジネスを多く生み出すことができると弊社は考えている。


また、こういったICT農機から得られるデータを収集し、顧客が活用できる流れを加速させていく。
営業の現場でデータを活用しメンテナンス等新しいサービスの展開を図るだけでなく、働き方の改革にもつなげていく。
この他、開発・生産の場面では得られたデータを製品開発に活用し、生産性を向上させるなどDXを加速させていく考えだ。


さらに、アフターサービスである部品・修理収入の安定拡大にも取り組んでいる。
具体的には、大型整備拠点を中心としたサービス体制への変更、大型整備拠点の拡充を図っており、2023年12月期は国内事業増収のけん引役になるなど、ビジネスモデル転換は順調に進んでいる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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