[リヤド/ドバイ 17日 ロイター] - サウジアラビアの国営石油大手サウジアラムコ (SE:2222)は、石油化学大手サウジアラビア基礎産業公社(SABIC) (SE:2010)の70%株式を691億ドルで買収する手続きを完了した。
また、支払期間を2028年まで3年延ばし、石油価格低迷に伴う影響を和らげる。
買収価格はSABIC株1株当たり123.39リヤルで、株価(89.90リヤル)を27%上回る水準となる。
サウジアラムコのナセル最高経営責任者(CEO)は発表文で「大きな躍進であり、アラムコの下流戦略を加速させ、会社を石油化学の主要なグローバルプレーヤーに転換させるものだ」と指摘した。
SABICは世界4位の石油化学会社。
また、アラムコの17日の開示資料によると、売り手であるサウジ政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)との間で支払要件を修正。PIFが提供する融資を受け、アラムコは手数料とともに2028年まで分割で支払う。これまで合意していた2025年の期限を先送りする。
最初の支払い70億ドルは今年8月2日ないしそれ以前、最終の支払いは2028年4月7日ないしそれ以前に予定されている。
アラムコによると、今回の取引はPIFに振り出された約束手形を通じて資金が手当てされた。
これまでの合意では、買収価格の36%(約250億ドル)が買収完了日に現金で支払われることになっていた。
関係筋は、返済期限の先延ばしはアラムコの政府への配当支払いを可能にするためと指摘した。アラムコの第1・四半期の配当は今年の計画に沿っていたが、一部のアナリストからは原油の下落で年内の配当を懸念する声がでている。
テリマーの株式戦略担当者は、今回のディールはキャッシュフロー対策であると指摘。配当資金を確保したことはアラムコや一部の少数株主にとっては短期的に朗報だが、原油価格への長期リスクを株価に織り込まれているかどうか疑問、との見方を示した。
PIFは今回の合意により、国内経済構造の多様化に向けた資金提供が可能になるとみられている。
*内容を追加して再送します。