ドル/円相場は、100円の節目を挟んで揉み合う展開になっている。7月17~18日に行われたバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けて対ユーロではややドル安圧力が強まるも、ドル/円相場は総じてポジション調整中心の小動きに終始している。週末の参議院選挙を受けて衆参両院のねじれが漸く解消されたが、マーケットでは規定路線との冷静な評価が優勢であり、これを手掛かりに改めてドル買い・円売りを進めるような動きは見られない。
バーナンキFRB議長の議会証言であるが、資産購入に関して年後半に縮小し、来年半ばに停止するとの9月FOMC後に示した見通しが再確認されている。ただ、あくまでも今後の経済指標次第という曖昧な態度表明も行われたことで、バーナンキFRB議長は緩和策の縮小を急がないとの見方から、米金利上昇・ドル高圧力に一定のブレーキが掛かっている。もっとも、これは量的緩和第3弾(QE3)の縮小・停止という方向性そのものに修正を迫るものではなく、改めてドル相場を大きく下押しするような材料だとは考えていない。急ピッチなドル高に対する修正圧力は一時的なものに留まるだろう。米金利低下圧力にブレーキが掛かれば、再びドル買い・円売り優勢の展開になると考えている。
一方、参院選挙の影響は限定されている。ただ、「アベノミクス」は強力に推し進められることになるという意味では、今後は海外投資家からのドル買い・円売りが膨らむ余地は十分にある。日米の金融政策格差が拡大傾向を維持する中、緩やかなドル高・円安基調は維持されよう。もっとも、政権の安定は同時に消費増税を巡る議論を加速させかねないこともあり、8月に発表される4~6月期の国内総生産(GDP)を受けて、ボラティリティが増すリスクには注意が必要。「アベノミクス」の効果が確認されればされる程に、消費増税に向けた環境は整うことになる。
今後1週間の予想レンジは、99.00~102.00円。