方向感喪失:
市場のボラティリティーは依然として高く、来週水曜日のFOMC会議の結論が出るまでは、高いまま推移する可能性が高い。投資家やトレーダーは一様に、同会議において、量的緩和と金利に関してFRBが実行する意思のある政策の方向性に関していくらか明確になると期待するだろう。小売売上高と失業保険申請件数が予想よりも良かったため、USDは主要通貨に対していわゆる短期的に反発はしたものの、引き続き下落した。今朝、DXYは昨日の朝の水準からわずかに下げたが、同指数は4ヵ月ぶりの低水準にあり、バーナンキ議長が5月22日に、雇用統計が持続的な改善を示した場合、FRBは資産購入を850億ドル削減する可能性があると発言し、株式市場が勢いを失うのではないかとの懸念が浮上して以来、5%を喪失している。
本日は、ユーロ圏および米国での物価統計の発表が控えている。4月に0.1%のデフレを経験したユーロ圏は、5月に関しては、前月比0.1%のインフレとなるだろう。5月の前年比の修正値は、いつもどおり、速報値と変わらない可能性が高い。物価における前年比は、1.4%の上昇が予想され、4月に報告された1.2%のインフレから大幅に改善されるだろう。ユーロ圏における回復を示すこれらの兆候は、2012年の下半期に雇用者数の減少が止まったことに伴って、データに反映された可能性がある。残念なことに、雇用者数の増減に対する予想は行われていない。
昨日と同様、本日発表される一連のデータから、米国が注目されるだろう。米国の前月比での5月の生産者物価指数は、過去2ヵ月間に見られたデフレ圧力の終焉を示すと予想されるが、その差は非常にわずかであろう。それでも、生産者物価における0.1%の上昇は、4月に発表されたPPIにおける5ヵ月ぶりに低い0.7%の下落から大きく改善するだろう。物価は、4月に発表された0.6%のインフレの2倍超である1.4%の上昇を示すと予想されるため、前年比は、2ヵ月続いたディスインフレに終わりを告げるだろう。総合指数におけるこれらの上昇にも拘わらず、価格変動の激しい食料品およびエネルギーを除くPPIは、変わらずに推移すると見られ、前年比は1.7%となるだろう。ミシガン大学によって発表された6月の消費者信頼感の速報値も、市場における最近の景気後退感にも拘わらず、84.5と6年ぶりの高水準で変わらずに推移すると予想される。第1四半期の経常赤字は、引き続き1097億ドルで事実上変わらずに推移すると予想され、その前の四半期の数値は1104億ドルの純流出となるだろう。最近は投資家が、特に発展途上国に関してではあるが、経常赤字に注目しており、同数値は、いつもより注目される可能性がある。最後に、鉱工業生産指数と設備稼働率はいずれも改善を示すと見られ、前者は4月に示された0.5%の縮小から0.2%の拡大で若干改善すると見られる。設備稼働率は、4月に比べ0.1%の上昇と、かなりの僅差で改善し、77.9%を示すと予想される。
マーケット
EUR/USD
• 加盟国間での差異が、投資家に、広く拡大したリスク選好感を満足させる一連の投資機会を提供しているため、EUR/USDは、ボラティリティーによって引き続き上昇した。
• EUR/USDは1.3400をわずかに下回る水準でレジスタンスを見出し、今朝、同ペアは戻し、典型的なストキャスティクス・レジスタンス水準に達し、RSIも売られ過ぎの領域に達した。重要なサポートは、2月~3月の下落の61.8%リトレースメント水準である1.3340に現れ、次のフィボナッチ・サポートは1.3320に、トレンドライン・サポートは、1.3300に現れるだろう。レジスタンスは1.3370、1.3395を若干下回る水準、1.3425に現れる。
USD/JPY
• USD/JPYは、米国のデータが好調だったことを受けて反発したが、前回の政策会合で言及することができなかった日本国債の利回りの変動が高まることに対する懸念を表明した日銀の議事録の発表を受けて、急激に低下した。
• USD/JPYはテクニカルな取引を続けており、重要な水準でレジスタンスとサポートを見出した。本日のサポートは、94.9、アベノミクスによるラリーの38.2%リトレースメント水準である94.40、そして93.75に見出される。レジスタンスは、95.30、95.90、96.40に現れる。
GBP/USD
• 英国では、コンファレンス・ボードが、5月の景気先行指標を発表する予定で、経済活動全般において、前の3ヵ月間について0.4%の改善を示すと見られる。この期間の英国における改善見通しに照らし、さらなる改善の可能性はあるが、これを裏付ける公式な予想は存在しない。
• 1.5690の強力なレジスタンスの突破により、1.5730で弱いレジスタンスを見出した。この水準を上回る強力なレジスタンスは、1.5780で見出され、この水準には重複する2つの、重要なフィボナッチ水準がある。強力なトレンドライン・サポート、フィボナッチ・サポート、200日移動平均サポートが、1.5690に現れ、次のサポートは1.5650、年初の下落の50%リトレースメント水準である1.5610に現れるだろう。
金
• USDが引き続き弱含んでいるにも拘わらず、金は、横ばい状態が続いており、実現しそうなペナント・フォーメーションの周りで旋回している。
• 1387ドルは再び、最初の弱いレジスタンスとして機能する可能性があり、その次のレジスタンスは1400ドルを下回る可能性がある。サポートは1378ドルに現れ、トレンドライン・サポートは1370ドルに現れる可能性がある。
原油
• WTIは、世界の成長見通しを下方修正した世界銀行のレポートを受けて生じた初期の損失からどうにか反発した。当初、米国の好調なデータの恩恵を受けた原油は、USDが取引時間遅くに戻すなか、引き続き上昇した。
• 強力な、十分に試されたトレンドライン・レジスタンスが96.95ドルに現れた。これを突破すれば、価格は、2012年の3月から6月の急落のリバーサル水準でもあり、61.8%リトレースメント水準でもある97.75ドルに向かう可能性がある。トレンドライン・サポートは、96.25ドルに現れ、95.60前後のフィボナッチ水準と一致し、次のサポートは94.50ドルに現れるだろう。
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