ゴールド市場における売買戦略の立て方・考え方~短期と中長期の違い
【収録日】2015/01/20
【会場】東京商品取引所
【第一部出演】後藤道義、叶内文子氏(フリーアナウンサー)
本日は、ウィークリーマーケットTV(WMTV)100回記念イベント第一弾として実施された特別番組の内容をお届けいたします。
番組は二部構成で、第一部は後藤道義と叶内文子氏、第二部はテクニカルアナリストの古川浩之氏を迎えて収録されました。
当コラムは、第一部の内容をまとめたものです。
まず前半は、後藤がWMTVでお届けしてきた売買戦略の考え方、立て方についてお話しています。
後半は、これらを踏まえて、今後のゴールド市場についての展望と売買戦略について解説しています。
それでは、当コラムとWMTV(動画)のほうもあわせてぜひご覧ください。
皆様、今週もどうぞ宜しくお願いいたします。
ご覧いただいている皆様のおかげで、WMTVがまもなく2年継続となり、今年1月で100回の節目を迎えました。改めて厚く御礼申し上げます。
さて、これまで100回にわたりお届けしてきた売買戦略ですが、私が、何を考えて戦略を立てているのか、短期と中期での考え方の違いについて、お話しようと思います。
まず、短期の見通しを立てる場合ですが、いま買い材料か、売り材料なのか、ということに尽きます。
見るのは、投機筋の売買ポジションです。
具体的には、CFTCの建玉明細をみています。
このデータで、投機筋の偏りや資金枠の状況を把握します。
買う人がいなければ相場は上がりません。また、売る人がいなければ相場は下がりません。
簡単なことですが、ある材料が出たときに、今の投機筋のポジションはどういう状態で、これは買い材料になるのか、売り材料になるのかを考えています。
強気の材料でも、投機筋が目いっぱい買っている状況では、さらなる買いは入りません。逆に手仕舞いのタイミングになることがあります。逆もしかりです。
一方で、中長期では、需給要因を重視します。
需給にまさる要因はないと考えています。
例えば、貴金属市場では採算値ですね。採算割れでは、鉱山会社は掘り続ければそれだけ赤字ですから、供給を絞るなどで上昇する要因になります。
このように、短期と中期の見通しでは、重視するところが異なります。
これに見合った売買戦略を立てることが必要になります。
短期と長期では、見通しの値幅が違い、これにより建て玉の資金配分も大きく異なりますので、売買戦略が大きく変わってきます。
それでは、これらを踏まえて、今後のゴールド市場の見通しを立ててみたいと思います。
(短期)
まず、短期的な見通しですが、CFTC建玉明細のNY金をみると、
買いが700トン後半まで増えて、売りが減少し、差し引きで買い越しが大きく増えました。
先週は、800トンまでまだ買い余力があり、上昇余地があるとお話していましたが、やはりこの間相場は上昇しました。
ただし、これにはスイスフランショックの前の数字であり、現在はさらに買いが増えて800トン台まで増えていると思われます。つまり、先週末からの上昇は、売りの手仕舞いで上がったのではなく、新規の買いによる上昇だったと見てます。
実際に、その間の出来高は増加し、取組高も増えています。新規の資金が流入したのだと思います。
ただし、昨年7月あたりの買い建玉800トン台に近づいたため、短期的には警戒が必要です。
今後のNY金は勢いで上昇があっても、そこは警戒が必要なところです。
これまでが、短期的な見通しです。
(中長期)
続いて中長期についてお話します。
中長期的には、米FRBと日銀の金融政策が異なりますので、2015年の流れはドル高円安で、東京金は円安がサポートになるとみています。
東京市場は、下値は以前の4200円の水準まではなく、150円程度の押しでとどまると考えています。
一方の上値ですが、やはり米国の利上げがあるとドル建ての金の上値は限られます。
ただし東京金は、為替の円安を受けて上昇し、まずは5000円があるとみています。
ドル円の130円は年内にあるとみていますが、ドル円が130円、ドル建て金が1200ドル以上で、5000円に届く計算になります。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。
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