まずは、先週までの動きを確認してみましょう。
5/18に1230ドルを越えていたNY金でしたが、翌日5/19に1220ドルを割れてストップロスが入り大きく下落しました。
先週のコラムにて、5/19付のCFTC建玉明細で投機筋の買いが一気に膨らんでいたため、上値警戒としていましたが、やはりNY金相場は1200ドルを割り込み、再びストップロス売りで大きく下落しました。
その様子は、最新の5/26付のCFTC建玉明細から伺えます。
投機筋の買いが、40トンほど減り、逆に売りが30トンほど増えています。
つまり、買い方の整理売りと売り方の新規売りが入ったということで、売り圧力が強かったということが分かります。
1200ドルを割り込んだ相場は、一時1180ドルを割り込むまで下落しました。
ただし、先週木曜日の取組高はかなり減っていますので、もう一段の整理売りがあったことが推測されます。
買い方の整理売りは一巡してきたとみて良いでしょう。
現在は、売りも買いも偏りがない状態になっています。
一方で、通常ドル建ての金価格が20~30ドル下がると、円建てでは60-90円下がる要因になりますが、現在の東京金は4700円台で堅調に推移しています。
これはなぜかというと、為替で円安が進んでいるためです。
円建て金は、ドル建て金価格×ドル円÷31.1035で計算されますが、現在はドル建て金価格が下落した分以上に、円安が円建ての金価格を押し上げていることになります。
ドル円は、124円台まで一気に円安が進んできました。
日本政府からは、急激な円安をけん制する発言がありますが、シカゴの投機筋の円売りポジションには、まだ余裕があり、さらに円安が進むと見ています。
ドルは唯一、利上げに向かっている通貨であり、日本政府の口先介入だけでは、投機筋の動きを止めることはできないでしょう。
ドルの基調は強く、調整の円高はあっても円安は続くと見て戦略を立てていくべきで、東京金は久々の高値をつけてきていますが、値ごろ感を持たず強気で見ていくのが良いと思います。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。