貴金属相場は、上値重い状況です。
一方期待された為替は、ドルが強く、円も新興国に対しては強く、
結果的にドル円も動きにくい状態です。
ただし、ドル円は現在は上値重く円安が進みにくいですが、
中期的には金利差からドル円は円安方向に動くと思っています。
さて、本日は、金相場と白金相場について見ていきたいと思います。
結論から言うと、貴金属は反転上昇の条件が整ってきており、
FOMCの結果がきっかけになり、近く反転すると見ています。
まずは、NY金の日足チャートをご覧ください。
3月に入り、じわじわ下げてきたNY金相場は、3/6に30ドル近く暴落し、
その後も軟調な動きで、現在は1150ドル近辺で推移しています。
先週、3/6の下落で取組高が増加していたため、新規の売りが入ったのではと
話していましたが、最新3/10現在のCFTC建玉明細を見てみると、
やはり新規の売りが増加しており、かつ80トン近く急増しています。
直近の投機筋の買い玉(オレンジの棒グラフ)は、大して減っていません。
一方で、売り玉の増加が著しく、400トンに迫る勢いです。
その後の軟調な相場で取組高が増加しているため、その後も売りの新規が増えて
400トンを越え、400トン半ばまで増えている可能性があります。
400トン半ばは、昨年11月の下落時の水準で売られすぎの目安になります。
将来的な売り玉の買戻しによる上昇が期待できる状況です。
次にフォワードレートの推移をご覧ください。
こちらは、現在プラスマイナス0付近にあります。
フォワードレートがマイナスになると投機筋が新規売りしにくくなりますが、
先月マイナスになった時は、投機筋の売りが少なく上昇は期待できない状況でした。
現在は違います。現在は売り玉が膨らんでおり、
売りの手仕舞い(買い戻し)が誘発されやすい状況にあります。
以上、2点が反転上昇の条件が整ったとする理由です。
また、今週は重要なイベントであるFOMCとその後の議長の発言を控えており、
これをきっかけとして、偏った売りポジションが修正されるのではないでしょうか。
次に、白金です。
3/12、NY白金は、1112.5ドルをつけました。
正直安すぎると思います。なぜここまで安くなるのでしょうか。
これには南アの通貨ランドが関係しています。
白金の7-8割は南アで生産されているため、ランドの動きは非常に重要です。
ランドはここ2週間で、ドルに対して大幅にランド安に進んでいます。
実は、このランド安により、南アの鉱山会社は助かっています。
東京白金価格とドル建ての白金相場との関係と同じで、
ドル建てで下落しても、ランド安によりランド建ての白金はサポートされます。
現在のランドは、過去40年ほどの数字をみても歴史的なランド安です。
一方で、投機筋のポジションをみてみると、金同様に売りが膨らんでいます。
昨年の下落時よりも売り玉は多い状態で、何かのきっかけで売り玉の
手仕舞い(買い戻し)を誘発する可能性があります。
白金は、歴史的なランド安、投機筋の売りの偏りが見られる状況です。
FOMCで金が上昇すれば、つれ高になると思われますが、
上げ幅は金よりも白金の方が大きい可能性があります。
白金と金との差で金が白金よりも高い状態にあるためです。
このように貴金属相場は、反転の条件が整い近く上昇すると見ています。
当記事は、「セントラルマーケットコラム~経済金融・コモディティ~」からの転載です。またコラムでは、経済金融、貴金属のスペシャリストによるコラムも掲載しております。こちらもぜひご覧ください。