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波乱万丈投資家列伝!著名投資家むらやん氏が芸人への道を諦めてから億トレーダーに至るまで【前編】

 

前回、大変好評いただいた投資家インタビュー第二弾を実施。今回は芸人を目指し、挫折を経て投資家になった著名投資家「むらやん氏」に独占インタビュー。個人投資家界隈でもその名が知られているだけでなく、様々な投資家への繋がりも深い。

そんなむらやん氏が投資家に至るまでの軌跡、失敗を繰り返すも相場から学び、資産を増やす過程で得た投資の極意とは。笑顔溢れる気さくな口調から時折垣間見える鋭さ。実力派トレーダーの真髄に迫る。

●芸人を目指すも諦め、営業の道を経て、トレーダーへ。投資家むらやん誕生秘話

―むらやんさんは元々NSCに入っていたりと様々な経験をされていますが、トレーダー以前のお話からまずご紹介いただけないでしょうか。

元々僕は四国の出身なんですけど、18歳ぐらいの時に大阪に出てきて、吉本興業の芸人を目指しました。吉本のお笑い養成所のNSCというところがあったので、受験して入り1年ほど芸人の見習いをします。しかし、その養成所で様々なことを学んだんですけど、いまいち芽が出ず、さらにはお金もなく生活する事も厳しくなってきたので芸人の道は諦めました。辞めるのであれば、社長になって自営業になろうと決意しました。芸人を通して実現するはずだったお金持ちになりたいという夢をこの道で叶えようと。

バイトで営業していたのもあって、営業の道に入って健康器具の販売だったりそこから様々な会社を渡り歩きます。その中でも一番結果を出せたのは不動産会社、それも完全歩合のフルコミッション型の不動産営業で、それが僕の肌にあっていたのか上手いこといきまして、1年半ぐらいで1千万ぐらい貯金ができたんですね。それはちょうど20から21歳ぐらいの時だったんですよ。

―21歳で1千万の貯金とは凄いですね。そこからどういった経緯で株の世界に入るきっかけがあったんでしょうか。

その1千万を元手に自分でビジネスをしようと友達と一緒に会社をやってみたんですけど、いまいち上手くいかなかったんですよね。どうしようかなと悩んでいる時に、仕事で知り合った証券マン上がりの方がいたんですよ。その当時僕は株の事は全然知らなかったのですが、その方が「自分ら株知ってるか?俺はこの前ライブドアの株で1億円儲けてな」って話をされまして。当時24、5歳の頃だった僕は「え?1億円!?」と刺激を受けまして。ただその時、会社をやっていて忙しかったのですぐに株を始める事はしなかったんです。その後、結局会社を畳み次の日から全くすることが無くなってしまいました。

ただ、その1億儲けた方との会話の後で「何かあった時に買えるようにしておこう」と思い口座だけは持っていたので、株の買い方をインターネットで検索して、実際にそのまま入力していったら購入出来た。何も考えずに買ったので値動きを見て凄く怖くなって、すぐに売ってしまいましたが、それが株取引のスタートでした。

―その株取引をスタートさせたのは、いつぐらいの時期だったのでしょうか。

その株取引をスタートさせたのは、2005年の4月なんですけど、その時は日経平均株価が確か12,000円くらいをずっと軽く上下しながら特に盛り上がる事も盛り下がる事もない凄く温和な状況で、バブルでも大暴落の最中でもない時でした。株取引スタートさせてから少しずつ練習していましたが、その年の夏に当時の小泉総理が郵政解散選挙で大勝利して小泉相場というバブルが始まりました。

ただ、僕からすれば初めての経験をしている最中だったので、そのこと自体が凄いのかどうか全く分からなかった。4月から8月ぐらいまでの3、4ヶ月間全然動かなかった相場が急に色んな銘柄が動き出し、そんな状況見た事が無かった。当時ネットで株をしている方のブログを見ていると小泉解散でこれから相場が始まるみたいな事が書かれていたので、これは凄い事になると感じたと記憶しています。そこから頻繁に取引をするようになりました。

―そこからライブドアショックが起きますが、その際はどのように対応されましたか。

小泉相場と呼ばれる相場が夏から始まり次の年の1月まで続いたのですが、そこからすぐライブドアショックが起こります。実際は4、5ヶ月程度ぐらいしか凄い上昇相場って無かったのですが、そのショックも当時は一体何が起きているのか分からなかった。ほとんどの株が売られていたので、まずい事が起きているなという事は感じていましたが、デイトレが中心という事もあって、ずっと持ちっぱなしでは無かったので、ライブドアショック自体でそこまで損はしませんでした。

●最初にマイナス250万円になるも、現在は1億を運用する個人投資家へ。自分の得意とする相場環境への見極めの大切さ

―ライブドアショック前後までの資産はどのように推移しましたか。

実は、まず最初に250万円マイナスを経験しています。最初は何も考えずに取引をしていたらものすごく損をして、もう株をやめようかなと最初の3ヶ月は思っていたんですけど、ルール的に購入すると3ヶ月間売れない株があったので、その株が売れるまではとりあえず頑張ろうと思い、取引を続けていました。そこから株ってこうやったらプラスになりやすいんじゃないかと考えたりして、プラスマイナスゼロ取り戻して、その後結局トータルで100万くらいのプラスにはなりました。

ライブドアショックまでの間の約9ヶ月くらいは大儲けしたのではなく、損をしにくいような取引の練習をさせてもらったなと思ってます。一回マイナス250万円からトータルプラス100万になり、一番下から数えると350万円稼いだといえば稼いだことになるので、「稼げるには稼げるんだな」と思えたことで、そのまま株取引を続けることにしました。

ライブドアショック時には空売りという株価が下がれば利益になる取引の仕組みも覚えたので空売りを使ったり、買いのリバウンドを狙うタイミングなどもライブドアショックまでの9ヶ月の間に慣れてきていたので、その頃から月に100万から200万くらい、コンスタントで勝てるようになりました。全体の相場はライブドアショック以降下がっていましたが、下がっている間にも上下の動きをしているので、その上下しているところを買って売って、買って売ってを繰り返し、コンスタントに利益を上げる事ができました。

―リーマンショック、アベノミクスに至るまでの相場ではどのように資産は推移しましたか。

僕は今、株を始めてから丸々13年程度ですが、実際に1年間でグッと増えた年っていうのは、3年ぐらいしかないんですよ。その3年以外の10年はどうだったかと言えば、生活費が何とか出たりとか、ジリ貧だったりする期間もありましたし、こうジリジリしながら、リーマンショックが来るまでの間は自己資金が1千万から2千万ぐらいの間を上下したりして、そのレンジの中で資産が推移していました。そのレンジを上抜けたかったけど、中々そうはならなかった。

リーマンショック前とかにも上下に荒れる相場があって、そういう相場の中で資産がポンと増えても、3千万、4千万になったぐらいでした。リーマンショック時にも、株を長期に持っていない事もあってかやられはしませんでしたが、リーマンショックで一番下がった所からのリバウンド中の相場で資産を増やして、また低迷期に入ります。自分の得意な相場が来るまではジリ貧になりがちでした。

民主党政権の3年間は、日経だけでなく新興系、さらにはドル円まで全く動かなかった。上にも下にもいかないので、勝ちようがなくなってしまった。横横の動きが続いたので、ジリ貧になりました。民主党政権になる前に7、8千万円ぐらいあったお金がアベノミクス直前には4千万ぐらいまで減りました。当時、この状態が続くのであればまずいなと思っていた時に、アベノミクス相場が始まり、また再び凄い相場になったので、盛り返す事ができました。

―現在は、どれくらいの資産を動かされていますか。

僕は大体1億くらいですね。ただ、パンパンに最大限に資産限度額まで株を持つというようなやり方はしていません。余力を残して抑えめに。現在は僕自身も調子が悪いのと、相場環境も難しいので、いい時を待っているみたいな感じです。なので、今は3千万、4千万くらいまでしか張っていません。1千万ぐらいまで落としてもいいかなとも思っています。この相場ならもっと突っ込んで自分のやりたい形で取引出来るなと思える時が来れば、ガバッと張る為に資産を置いてあるという感じです。

●「今年は気難しい相場環境」動くバイオ関連を横目に、新規テーマ待ち

―先ほど多少触れていましたが、今年の相場環境はやりにくいのでしょうか。

正直なところやりにくいです。個人投資家や僕らの周りの方もそう言うと思うのですが、やり易かったのは2013年から2014年。2017年も個人投資家に優しい相場で、勝ちやすい相場環境だったんですけど、それ以外の3年間は皆さんかなり苦戦されていると思います。実際に去年がこの6年間の中でも一番悪かったと思います。去年は株を辞められた個人投資家の方も多いのではないでしょうか。一昨年が凄く優しい相場で、個人投資家の方があれ変えば儲かるよっていうのをネットで見つけてきたら本当に上がるようなシンプルな相場でした。

例えばこれ上がると言われている銘柄が700、800円の値段だったとして、それが1000円くらいまで上がって儲かったと言っている人が多かったですけど、去年1年間でそういう銘柄が200円ぐらいまで下がったような印象です。一昨年のような優しい相場の感覚で、どうせまた戻るでしょう、もっと上がるんでしょうって思っている人たちが結局全員塩漬けにしてしまっている。そして、昨年年末にかけてズバーンと下がったので株はもういいと思っている人が凄く増えたような印象があります。

一方で、持ちっぱなしにしている人もいれば、2019年からリセットして心機一転やりだしている人もいます。去年が酷かった分、今年はマシな相場になるのではないか、みたいな楽観的な空気がありましたが、1月にサンバイオショックという、個人投資家に人気のあった銘柄が大暴落し、そういう銘柄がサンバイオだけではなく、コロコロ出てきて、油断したらすぐに負ける気難しい相場環境です。

―投資を始められたばかりの投資家にとっては難しい相場環境という事でしょうか。

かなり難しいと思いますね。サンバイオショックで一時全体的に売られて、そこからリバウンドはしましたが、あの環境下で持ち続ける人って中々いないですよね。上がり続けたりとか、下がってもすぐ戻るっていうのが以前の相場にはありましたが、今そういう動き方している銘柄が少ないという事も考えれば、本当に難しいと思います。

デイトレでもバイオ株ばかり動いていて、ゲーム株とか全然動いていないんですよ。なので、ゲーム株が得意だった人とか、バイオやらない人からするとやる事ないというか。バイオ関連を取引する方であればいいんでしょうけど、僕はバイオをあんまり取引はしないので、することないなっていう日が多いですね(笑)バイオ中心で動いている分、他の銘柄が全然動いていないし、テーマが無いということもあります。僕は結構テーマ型の株が出てきたら、それを取引するのが好きなんですけど、バイオから切り替わって、自分に合うようなやり方ができる空気に変わればなと思って待っています。

次回、三部構成の中編第2部ではむらやん氏がトレードをする上で大切にしている心構えや銘柄を選ぶ際の着眼点など、投資家にとってまさに重要なテーマに迫っていく。次回の中編は令和元年初日の5月1日に公開予定!

むらやん氏のツイッターアカウントはこちら

Twitter:@cadillac600

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