[東京 29日 ロイター] - 29日の原油先物は反発。26日に約10ドル下落していたことを受け安値拾いの買いが入り、マイナス分をある程度取り戻している。ただ、新型コロナウイルスの新たな「オミクロン」変異株やイラン核協議に焦点が当たる中、投資家は慎重な姿勢を崩していない。
0014GMT(日本時間午前9時14分)時点で、北海ブレント原油先物は3.05ドル(4.2%)高の1バレル=75.77ドル。26日は9.50ドル安だった。
米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は3.27ドル(4.8%)高の1バレル=71.42ドル。その後、一時4ドル上昇し72.15ドルを付けた。26日は10.24ドル安だった。
日産証券の菊川弘之氏によると、先週の原油市場が売られ過ぎていたとの見方や、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国で構成する「OPECプラス」がオミクロン株に対抗して減産に踏み切る可能性があるとの思惑から買いが入った。
また、オミクロン株が世界経済と燃料需要、OPECプラスの行動、イラン核協議にどのような影響を与えるかが市場で注目されているという。
OPECプラスは、技術的な会合を週内の別の日に延期した。南アフリカなどで確認されたオミクロン株が原油の需要と価格にどう影響を及ぼすか見極める時間を確保する狙いだ。複数の関係者や関連書類で明らかになった。
OPECプラスの会合は12月2日に開催され、1月以降に日量40万バレルの増産計画を調整するかどうかの政策決定が発表される可能性が高い。
一部のアナリストは、石油消費国が備蓄を放出し、新たな変異株に伴う再ロックダウン(都市封鎖)で需要への影響が見込まれることから、OPECプラスが増産を一時停止する可能性に言及している。
一方、2015年に締結されたイラン核合意の再建に向けた協議が29日にウィーンで再開される予定だが、イランの核開発の進展により、イランと米国による合意の完全順守へ突破口を開くことができるかどうかは疑問視されている。