Valerie Volcovici Gloria Dickie William James Maha El Dahan
[ドバイ 13日 ロイター] - 国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は13日、成果文書を採択した。約200カ国の代表は最悪の気候変動を回避するために化石燃料からの脱却を進めることで合意した。
議長を務めるアラブ首長国連邦(UAE)のジャベル産業・先端技術相は「歴史的な」合意と称賛する一方で、真の成功はその履行にあると強調した。
「合意を具体的な行動に移すために必要な措置を講じなければならない」と訴えた。
ノルウェーのエイデ外相は「化石燃料から脱却する必要性について、これほど明確な文章で世界が団結するのは初めてだ」と指摘した。
100カ国以上が石油・ガス・石炭の「段階的に廃止」を成果文書に盛り込むよう強く働きかけてきた。これに対しサウジアラビアを中心とする石油輸出国機構(OPEC)は特定の燃料に言及しないよう求めていた。このためCOP28は会期を1日延長した。
成果文書は「公正かつ秩序だった公平な方法でエネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却を図り、2050年までに(温室ガス排出の)実質ゼロを達成する」とした。
また30年までに再生可能エネルギー容量を世界全体で3倍にし、石炭の使用を減らす努力を加速し、脱炭素化が難しい産業をクリーン化する炭素回収・貯留などの技術を加速させることも盛り込んだ。
<米中は長期戦略更新へ>
ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)はCOP28閉幕に当たり、米中両国が長期的な気候戦略を更新する方針だと明らかにしたほか、今回の合意は「世界に非常に強いメッセージを送る」ものだと称賛した。
一方、サウジの代表は合意を歓迎しつつ、気候変動対応はあらゆる技術を駆使して排出量を削減するものとしている自国の姿勢を繰り返した。
<サウジの支持>
サウジが合意を支持可能と判断した理由について、同国関係筋は第28条の文言が鍵となったと明かした。
第28条は産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える経路に沿って温室効果ガスの排出を大幅、迅速かつ持続的に削減する必要性を認識し、パリ協定とそれぞれの国情、経路、アプローチを考慮して国ごとに決められた方法で、世界的な取り組みに貢献するよう締約国に求めている。
これについて関係筋は「この裏にあるのはレシピだ。ビーガン(完全菜食主義)でもベジタリアン(菜食主義)でも魚派でも、それぞれの好きなやり方を選べる」と解説した。