Miho Uranaka
[東京 3日 ロイター] - 経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)は3日、中国で7月に施行された改正「反スパイ法」を巡り、同国には「(内容を)クリアにしてもらいたい」とした上で、関係性の再構築に向け日中トップ会談の機会を作ることも求めた。
新浪氏は、反スパイ法は「中国に投資をする上では心理的に大きな壁になる」との見方を示した。中国で大きな投資を行うよりは「現状維持」が現在の日本企業全般の考えだと指摘しつつ、「本質的には、今後両国が貿易や投資ができるような環境にしてもらいたい」と述べた。
中国に対しては、反スパイ法の内容を明らかにするよう民間外交などを通じて説明を求めているといい、日中トップ会談の機会などをつくって「経済上、切っても切れない関係が明確になっていくことが重要」との認識も示した。
今年3月には中国・北京でアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ容疑で拘束され、9月には中国当局に刑事拘留された。新浪氏は「とにかく、不明瞭な形で捕まるのは避けてもらいたい。『やっぱり(中国に)行くのは怖い』ということにはならないようになってほしい」と語った。
新浪氏は、外為市場で進んだドル高/円安について「すでに150円近くにあり、ここで何も手を打たないともう少し行く可能性もある」との見方を示した。
日銀の金融政策修正には企業による賃上げが不可欠との認識を示し、「10月末から12月にかけて、企業が賃上げに対しどれだけ将来に向けての展望を出してくるかにかかっている」と指摘した。その上で、個人的な見解として「多くの企業は賃金を上げる方向に向かう」と述べ、日銀には大規模金融緩和の終了に向けて「なにかしら年末までに手を打ってもらえると」いいとの期待を示した。
故ジャニー喜多川元社長の性加害問題を巡りジャニーズ事務所が前日2回目の会見で示した対応については「まずは前進した」と述べ、「被害を受けた人の救済を見届ける必要がある」との見方を示した。
(浦中美穂 編集:田中志保)