[武漢(中国) 29日 ロイター] - 新型コロナウイルスの起源を探るために中国湖北省武漢市を訪問中の世界保健機関(WHO)調査団は29日、中国側の科学者との対面協議を行った後、感染拡大初期に患者を診察した医療機関のひとつ、武漢市内の湖北省中西医結合病院を視察した。
同病院の呼吸内科主任の張継先医師が、新型コロナの最初の症例を報告したとされる。
調査団は28日に、中国到着後2週間の隔離期間を終えた。
調査団に加わっているオランダのエラスムス大学医療センターの疫学者、マリオン・クープマンズ教授はツイッターに、マスク着用で中国の研究者と初回の対面協議を実施し、調査について話したと投稿した。
調査団は中国に今後2週間滞在し、コロナ流行当初に感染拡大の中心地となった海鮮卸売市場や武漢ウイルス研究所を訪れる予定。中国政府の傘下にある同研究所を巡っては、コロナウイルスが流出したとの説があるが、中国側は否定している。
WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は今月、完全な起源の特定は困難な作業であり、答えが保証されているわけではないと指摘し、過度な期待をけん制している。
デンマーク出身の調査団員、テア・フィッシャー氏はロイターに「今回の調査と起源究明が成功するかどうかは、関連の情報源へのアクセスで100%決まる」と強調し、中国の協力が必須とした。
起源調査を巡っては、中国政府が調査団の受け入れを遅らせたとして、WHOトップが異例の批判を展開していた。
中国側は、新型コロナウイルスが武漢市で見つかる以前に国外で発生していたとの見方を示している。中国外務省はまた、米メリーランド州のフォート・デトリックにある米陸軍の研究所が2019年7月に突如として閉鎖したのはコロナ感染と関係あると暗に指摘している。
中国外務省の趙立堅報道官は定例記者会見で、WHOと中国の専門家はウイルスの起源を追跡するために協力しているが、今回の訪問は捜索ではないと強調した。
「これは世界的な研究の一環であり、捜索ではない」と述べた。
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