[チューリヒ 9日 ロイター] - 大手製薬会社でつくる国際製薬団体連合会(IFPMA)といった複数の世界的な製薬関連団体は9日、新型コロナウイルスワクチンの生産を拡大する上で大きなボトルネックとなっているのは生産能力と原料の不足だとし、一部で指摘されている特許ではないとの認識を示した。
IFPMAのトーマス・クエニ事務局長は「IP(知的財産)権は問題ではない。ボトルネックは生産能力、原料の不足、成分の不足だ」と指摘。世界保健機関(WHO)が支援するワクチン共有の国際枠組み「COVAX(コバックス)」などの主催による、ワクチン供給拡大に向けたオンライン会合に出席した後に述べた。
知財保護を巡っては新型コロナ流行で議論となっており、「国境なき医師団」などの団体は富裕国が比較的貧困な国によるワクチン生産を阻止していると非難し、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関連した特定の技術については一時的に特許の適用を免除するよう求めている。
官民連携でワクチン開発を推進する国際団体「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」のトップ、リチャード・ハチェット氏は、2021年に100億回分以上の新型コロナワクチン接種を推し進める中、製造業者、サプライヤー、政府は協調・協力しなければならないと指摘。会合の焦点は知財よりも「こうしたボトルネックをどのようにうまく乗り越えられるかについて、異なるステークホルダー間で認識を得ようとするもの」だったという。