[ブリュッセル 10日 ロイター] - 国際連合とオックスフォード大学は10日、新型コロナウイルス禍からの復興に向けた主要国による支出について、多くが環境に配慮した「グリーン」な内容でないとする共同報告書を公表した。汚染産業を強化する対策に何10億ドルもの資金をつぎ込むことになると警告した。
多くの国が「より良い再建」に向けて復興資金を気候変動対策に充てると公約しているものの、今のところ対策は不十分だ。主要50カ国による2020年末までの1兆9000億ドル規模の新型コロナ復興資金では「グリーン」と判断されるものが18%(3410億ドル)にとどまる。
報告書は「多くの場合、グリーン対策は政治的に利用されている」と指摘。「メディアで見出しを占めるために小規模なグリーン計画を打ち出す例がある。裏では、環境への影響には言及せず大きな対策を推し進めている」とした。
大半のグリーン支出は、スペインや韓国、ドイツ、英国などの富裕国が占めた。最大のグリーン対策資金は電気自動車(EV)の補助金や自転車用のインフラなどの輸送部門に充てられた。低炭素エネルギーに充てる資金もあった。米国と中国は公園に資金を割り当てた。
報告書は、グリーンな財政支出の経済回復効果が従来支出と比べて高いことを示す「証拠が相次いでいる」点を指摘した。
各国政府は昨年、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)への短期的な対応策として11兆1000億ドルを投じると決めたが、報告書は今後の経済の行方を決める復興資金に焦点を当てた。欧州連合(EU)の復興基金では、各国が支出計画にまだ組み入れていない部分を除外している。
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