[ジュネーブ 10日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)に加盟する富裕国は10日、貧困国向けに新型コロナウイルスワクチン生産を拡大するために80カ国以上の発展途上国が求めていた特許権の適用除外を認めなかった。
南アフリカとインドは、ジェネリックメーカーなどによるワクチン生産拡大につながる、WTOの「知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」ルールの適用除外を求め、発展途上各国の支持を得ていたが、国内に大規模な製薬産業を抱える英国、スイス、欧州連合(EU)各国、米国を含む西側諸国が反対した。
西側諸国は、知的財産権の保護によって研究とイノベーションが促されるとし、こうした権利を一時的に停止してもワクチン供給の急拡大にはつながらないと主張した。
WTOのTRIPS理事会では、昨年10月以来8回目となるこの問題を巡る協議を3時間行ったが、合意に至らなかった。提案の承認にはWTO加盟164カ国・地域の一致した支持が必要となる。
次回TRIPS理事会会合は6月8─9日に予定される。今回はその前の4月に2度にわたってこの問題を協議することで合意した。
WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は9日、発展途上国での新型コロナウイルスワクチン生産を推し進める緊急措置を呼び掛け、生産拠点の整備は従来予想の半分以下である6─7カ月で可能という見方を示した。
ナイジェリアの元財務相で、最近まで途上国のワクチン普及を目指す国際組織「Gaviワクチンアライアンス」の理事長だったオコンジョイウェアラ氏は、先週にWTOトップに就任したばかり。