[北京 16日 ロイター] - 4月の中国経済は大幅に悪化した。新型コロナウイルス流行を受けた行動制限で消費、鉱工業生産、雇用が大きな打撃を受けた。第2・四半期の同国経済が縮小するのではないかとの懸念が浮上している。
3─4月は数十の都市で完全もしくは部分的なロックダウン(都市封鎖)が行われ、上海のロックダウンも長引いている。労働者と消費者が自宅待機を迫られ、供給網が大きく混乱した。
中国国家統計局が16日発表した4月の小売売上高は前年比11.1%減少。新型コロナ流行を受けた行動制限が影響し、予想の6.1%減も下回った。2020年3月以来の大幅な減少。3月は3.5%減だった。
一部の省で外食サービスが停止したほか、4月の国内自動車販売は前年比47.6%減少した。ショールームへの来客が減ったことや部品不足で自動車メーカーが生産を減らした。
4月の鉱工業生産は前年比2.9%減少し、3月の5.0%増から大幅に落ち込んだ。ロイター調査の予想である0.4%増も下回った。20年2月以来の大幅な減少となった。
影響は雇用にも波及。全国の調査ベースの失業率は4月に5.8%から6.1%に悪化。20年2月の6.2%以来の高水準となった。
政府は22年の失業率を5.5%未満とする目標を掲げている。
1─4月の固定資産投資は前年同期比6.8%増加。予想は7.0%増、1─3月は9.3%増だった。
統計局の報道官は、中国経済が5月に持ち直し、消費回復が加速するとの見通しを示した。
コロナの影響を受けている地域で徐々に生産再開を進めているとし、中国経済は第2・四半期も比較的堅固なトレンドを維持する見込みだと述べた。
輸出については、世界経済の減速に伴い一定の圧力に直面するとの見方を示した。
アナリストは、この落ち込みを反転回復させるのは新型コロナ感染拡大が始まった2020年初頭より難しいとみる。輸出の回復が見込みづらく、景気てこ入れ措置の選択肢が限られているためだ。
キャピタル・エコノミクスは「最悪局面は過ぎたとみられるが、コロナ禍前の状態への回復はてこずるだろう」と述べた。
当局が感染の徹底的な封じ込めを図る「ゼロコロナ」政策を堅持しているため、今年の成長率目標(5.5%前後)の達成も一段と厳しくなっている。
華宝信託のエコノミスト、Nie Wen氏は「コロナ規制の影響が4月と5月だけにとどまれば、今年5%程度の成長は達成可能だ。しかしウイルスの感染力が強く、今後の成長を懸念している」と述べた。
さらに、米利上げや人民元安への懸念を踏まえ、金利や銀行預金準備率の大幅な引き下げといった量的政策には当局は慎重になり、不動産などの苦境の業種を対象とした構造的措置を講じるとの見方を示した。
ANZのアナリストは、上海ロックダウンの影響は広範囲に及ぶとし「工業生産が追いついておらず、成長率は向こう数年4.0─5.0%の下限にとどまるとみられる」と述べた。