Maki Shiraki
[東京 15日 ロイター] - 日産自動車とホンダは15日、EV(電気自動車)を中心とした電動化・知能化分野での業務提携の検討を始めると正式に発表、覚書を締結した。EVの基幹部品の共通化や共同調達、⾞載ソフトウエア、商品の相互補完など幅広く検討を進める。両社で規模を拡大しコスト競争力を高め、EVで先行する米中勢などに対抗する。
都内で行った共同記者会見で、ホンダの三部敏宏社長は、提携を検討する背景について、事業環境が急激に変化する中で「(ガソリン車で培ってきた)これまでの強みや従来の枠組みだけでは戦っていけない」と述べ、1月中旬ごろから協業を考え始めたと明かした。電動化・知能化に両社で取り組めばスケールメリットやコスト低減効果が大きいとし、「30年にグローバルで戦えるポジションにいられるかどうかを意識して(協業の)話をしていきたい」と述べた。
日産の内田誠社長も「競争に勝ち抜くためには、従来の常識や手法に縛られていては到底、太刀打ちできない。自社で全て行うのは大変厳しい」と危機感を示し、新興企業も含め競合が攻勢を強めており「時間があまりない」としてスピードが必要、と指摘した。
世界のEV市場では中国BYDや米テスラが販売で先行しており、ここ数年は中国勢が急激に台頭し価格競争が激化している。
三部氏は、日産を選んだ理由について両社とも「技術ドリブン(志向)」であり、「企業文化は違ったとしても最適なパートナー」との認識を示した。内田氏も、切磋琢磨しながら成長していけると述べた。
両社は今後、ワーキンググループを通して具体的な協業内容を詰める予定で、EVの中核部品であるイーアクスルなどの共通化や共同調達、車台の共同開発などを検討する。EVの車台設計や共同開発、自動運転や安全運転支援に関連したソフト開発も想定する。
協業内容の検討にあたり、三部氏は、現時点では「明確なスコープ、特定の地域を決めた話はしていない」と説明。内田氏も「メリットがあれば国内外を問わず、どの地域でも検討していきたい」とし、できるだけ短期間で協業内容を決める方針を示した。
日産が連合を組む仏ルノーと三菱自動車との関係は従来のままで変わらず、内田氏は、ホンダとの協業でメリットがあれば「連携が広がる可能性がある」と述べた。
日産とホンダが資本提携に発展する可能性については「現段階では全く話をしていない」(三部氏)という。内田氏も、現在は考えていないとした上で「どういう形でメリットが出るのか、話し合っていきたい」と話した。