[ロンドン 25日 ロイター] - 英銀大手バークレイズ (L:BARC)は25日、世界経済の見通し悪化により、利益目標の達成が困難になる恐れがあると表明した。同時に発表した第3・四半期決算は市場予想を上回った。
同行は株主資本利益率(ROE)の今年の目標9%の達成は可能だとしながらも、経済環境を踏まえると、来年の目標である10%の達成は厳しくなるとの見方を示した。
ジェス・ステーリー最高経営責任者(CEO)は「特に英国経済を巡る不透明感や金利環境を踏まえると、来年の見通しが1年前の予想に比べて間違いなく厳しさを増していることを認める」と表明した。
第3・四半期は、先に発表した支払保障保険(PPI)の不当販売に関連する引当金を除くベースで、18億ポンド(23億1000万ドル)の税引き前利益を計上。市場予想は約15億ポンドだった。
同行は、規制当局との合意に基づき、普通株等Tier1比率(CET1)の目標を13.5%に引き上げたことも明らかにした。
第3・四半期末のCET1は13.4%で、目標を下回っているが、先に示した配当方針は維持する。
PPIの不当販売に関連する引当金は14億ポンド。同行が予想していた12億─16億ポンドの半ばとなった。
ステーリーCEOは記者団に対し、PPIを巡る引当金の計上が、自社株買いなどを通じた投資家への現金還元を増やす計画を制限していると述べた。「8月の大量のPPI関連請求は誰も予想していなかったと思う。われわれは14億ポンドの引当金は見込んでいなかった」と語った。
バークレイズは、第3・四半期末時点でもPPIを巡ってまだ200万件以上の請求や情報提供要請に対応しており、今回の引当金計上が最後となるかどうかは分からないと説明。年末時点で状況が明確になるとの考えを示した。
また、英国のリテール銀行市場で厳しい状況に直面していると指摘した。
第3・四半期の投資銀行部門の利益は前年同期比67%増となった。債券・為替・商品トレーディングが19%増加したほか、競合他社は苦戦している株式事業が5%増収となったことが寄与した。
バークレイズの株価は3%上昇し、2018年11月以来の高値を付けた。
*内容を追加し、写真をつけました。