[東京 19日 ロイター] - 日銀は、効果的で持続的な金融緩和のための政策点検を行い、長期金利の許容変動幅を明確化し、イールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟な運営のため長期金利の変動幅を「プラスマイナス0.25%程度」とすることを声明に明記した。一方、上場投資信託(ETF)については年12兆円を上限に引き続き買い入れを行うとし、原則6兆円の買い入れめどを削除。TOPIX連動型のみを買い入れ対象にするとした。
長期金利の変動幅の明確化に併せて「連続指し値オペ制度」を導入。必要な場合には強力に金利の上限を画するとした。一方で、下限については日々の動きの中で金利が一時的に下回る場合でも「厳格には対応しない」とした。
金融仲介機能に配慮しつつ、機動的に長短金利の引き下げを実施するため、日銀は短期政策金利に連動する「貸出促進付利制度」を創設する。新型コロナオペのうち、プロパー分にはプラス0.2%の付利、プロパー分以外にはプラス0.1%の付利を実施する。今後、短期政策金利をマイナス0.2%に深掘りした場合には、資金供給の制度趣旨に応じて、それぞれのカテゴリーに0.2%より高い金利、0.2%、0.2%より低い金利が付与される仕組みとする。
ETFや不動産投資信託(REIT)の買い入れについては、コロナ対応で引き上げた約12兆円、約1800億円の年間増加ペースの上限を感染症収束後も継続することにし、必要に応じて買い入れを行う。ETFは今後、指数構成銘柄が最も多いTOPIXに連動するものだけを買い入れる。
<政策金利、賛成多数で据え置き>
政策金利の目標は賛成8、反対1で据え置きを決定した。短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用する。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。
片岡剛士委員は長短金利を引き下げることで金融緩和をより強化することが望ましいと主張し、反対票を投じた。
日銀は2%の物価目標の実現を目指し、安定的に持続するために必要な時点まで現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続することを改めて表明。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
当面、感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加緩和を実施する。政策金利については「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」とした。
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*内容を追加しました。
(和田崇彦 編集:石田仁志)