[ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が29日発表した第2・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は、前期比0.7%増と予想に反して伸びが拡大した。スペイン、フランス、イタリアが予想を大きく上回った。
前年同期比では4.0%増加した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想では、前期比0.2%増、前年比3.4%増だった。第1・四半期は前期比0.5%、前年比5.4%拡大した。
ドイツは予想をやや下回る結果となったものの、フランスは前期比0.5%増加した。イタリアは1.0%増、スペインは1.1%増といずれも予想を大きく上回った。
<下半期に緩やかな景気後退との見方>
エコノミストの間では、高インフレやサプライチェーンの問題を背景にユーロ圏が下半期に緩やかな景気後退に入るとの見方が出ている。
INGのエコノミストは「経済成長の加速は主に経済活動の再開によるものだ。高インフレと製造業の問題を背景に基調は弱い」と指摘。
「今後、GDPの下降基調が続くだろう。サービス業の活動再開に伴う回復が鈍化し、世界の需要も低迷し、購買力の低下が続く。この結果、下半期から緩やかな景気後退が始まる見通しだ」と述べた。
アクセンチュアの欧州担当エコノミストも「サプライチェーンの混乱継続、エネルギー価格の上昇、過去最高のインフレが長期的な影響を及ぼすことは明らかだ」との見方を示した。
オックスフォード・エコノミクスは「目先、インフレが落ち着く兆しはなく、経済見通しもまだ軌道を外れていない。欧州中央銀行(ECB)が9月に50ベーシスポイント(bp)の追加利上げをすると予想する」と述べた。
EU統計局が29日発表した7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年比上昇率が8.9%で、前月の8.6%から加速し過去最高を更新した。