[北京 13日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が13日発表した5月の人民元建て新規銀行融資は1兆3600億元(1901億8000万ドル)だった。人民銀は緩和措置により経済を下支えしているが、成長が鈍化する兆候が見られ追加刺激策への期待が高まっている。
4月の7188億元から増加したが、ロイターがまとめた市場予想の1兆6000億元を下回った。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「与信の伸びが弱い。これはPMIや輸出などの経済指標の内容を考えると意外ではない」と述べた。
人民銀はこの日実施した資金供給オペの金利を引き下げた。張氏は「けさリバースレポ金利を下げたのも説明がつく。正しい方向への小さな一歩だ。今後数週間でさらなる政策対応があると予想する」と語った。
5月の元建て融資残高は前年同月比11.4%増。市場予想は11.6%増。4月は11.8%増だった。
キャピタル・エコノミクスは、融資の伸びの急減速を特に懸念。「与信の伸びは中国の景気循環に関する最も信頼できる先行指標の一つでもあり、心配だ。融資の減速が早期に歯止めが掛からなければ、経済再開による回復がつまづく恐れがある」と述べた。
住宅ローンを中心とする家計向け融資は3672億元増と、4月の2411億元減から増加に転じた。企業向け融資は8558億元と前月の6839億元から増加した。
需要が低迷しデフレリスクが高まる中で、中国の回復が勢いを失っていることが最近のデータで明らかになっている。人民銀の易綱総裁は先週上海で開かれた会合で「カウンターシクリカル」な調整を強化して実体経済を支え、資金調達コストを下げるために政策ツールを活用すると表明した。
野村のアナリストはメモで「二番底の可能性を中国当局が真剣に懸念していることをこうした発言は示唆している」と指摘し、人民銀が近く刺激策を強化する可能性があるとの見方を示した。
5月のマネーサプライM2の前年比伸び率は11.6%。市場予想の12.1%を下回った。4月は12.4%だった。
5月の社会融資総量残高は前年比9.5%増と前月の10%から伸びが縮小した。
社会融資総量は、通常の銀行融資に加え、新規株式公開(IPO)、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す。
5月の社会融資総量は1兆5600億元と4月の1兆2200億元から増加した。アナリスト予想は2兆元だった。