[バグダッド 5日 ロイター] - イラクは同国の銀行に預けられているドル資金の現金引き出しと取引を来年1月1日から禁止する。ドル資金が金融犯罪や、米国の対イラン制裁逃れに使われることを防ぐ取り組みの一環。イラク中央銀行の投資・送金部門責任者、マゼン・アハメド氏がロイターに語った。
アハメド氏によると、イラクはニューヨーク連邦準備銀行に預けているドル資金から毎年100億ドルを自国へ移しているが、このうち約50%が不正に使われており、そうした不正利用の撲滅を目指している。
一方、戦争や危機に不安を抱いているイラク国民には自国通貨ディナールよりもドルが好まれる中で、経済の脱ドル化を促す狙いもある。
アハメド氏の話では、今年末までにドルで預金した人は来年もドルで資金を引き出すことが可能。だが来年にドルで預金した人は資金の引き出しはディナールに限られ、その際に1ドル=1320ディナールの公式レートが適用される。
中銀はその後の声明で、ドルの現金引き出し禁止措置は海外からの送金を受けた口座のみに適用されると説明した。
イラクは既に、ドル需要の大半を占める電信送金を規制する枠組みを立ち上げている。電信投資金は、イランとシリアに資金を移動させるための架空受け取りや偽装取引の温床になってきたためだ。
ただアハメド氏によると、その後も不正な資金引き出しは続いているという。
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