Padraic Halpin Graham Fahy
[ダブリン 10日 ロイター] - アイルランドのマクグラス財務相は10日の予算演説で、高水準の財政黒字を原資に1000億ユーロ(1060億ドル)の政府系ファンド(SWF)を立ち上げる計画を打ち出した。
アイルランドは昨年、外資系企業からの法人税収が急増し、対国民総所得(GNI)比2.9%の財政黒字を確保。今後も高水準の黒字を維持すると見込まれている。
マクグラス氏は、2024─35年の期間に名目国内総生産(GDP)の0.8%(43億ユーロ相当)を新たなSWF「フューチャー・アイルランド・ファンド」に投資することを政府に義務付ける法律を導入すると述べた。
財務省は同ファンドの収益率が約4%と前提し、35年までに規模が約1000億ドルに膨らむと試算。5年後に資金が利用可能になれば年金の支払いや気候変動対策費に充当すると見込む。
政府はまた、140億ユーロのインフラ・気候基金を創設する計画も発表した。
マクグラス氏は予算に盛り込まれた減税、エネルギー料金の支援、育児・大学・学校の費用軽減などの措置でインフレを上回るペースで国民の所得が増えるとの見通しを示した。インフレ率は今年が5.3%、来年は2.9%と予想されている。