Pete Schroeder
[ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は19日の講演で、来年の銀行ストレステスト(健全性審査)の一環として、銀行の健全性を図るための新たなシナリオを開発していると明かした。新たなシナリオは「理解を助ける」性質のもので、銀行の資本要件を決める要因にはならないとしている。
バー氏はシナリオの具体的な内容には言及しなかったが、多様なシナリオを用いることは「銀行システムに起こる幅広い事象」を把握するのに必要だと説明した。バー氏は以前にも、ストレステストを拡充するために複数のシナリオを用いることを検討していると示唆していたが、2024年の審査から導入することを確認したのは初めてだ。
従来のストレステストでは、厳しいリセッション(景気後退)が起こると仮定し、そのシナリオ下で予想される損失に基づいて大手行が備えるべき資本バッファーを計算している。
バー氏は、単一のシナリオに固執すると、銀行は自主的なリスク管理への投資を減らしたり、ストレステストの結果を最大化することを目的にポートフォリオを磨き上げたりする結果につながりかねないと説明した。
同氏は「われわれのストレステストは銀行システムの強度と耐性を図る重要な尺度だが、どんな試験でもそうであるように、限界があることを認識しなくてはならない」と述べ、幅広いシナリオを想定する必要性を強調した。