[シドニー 30日 ロイター] - オーストラリア統計局が30日発表した9月の小売売上高は8カ月ぶりの大幅な伸びを記録し、個人消費の底堅さを示した。早ければ来週にも利上げが行われるとの見方が強まる可能性がある。
9月の小売売上高は名目ベースで前月比0.9%増の359億豪ドルで、アナリスト予想の0.3%増を上回った。前月は0.3%増に上方改定された。
前年比では2.0%増加。昨年8月以降初めて前年比の伸びが拡大した。
統計局の小売統計責任者は、春先の温暖な天候で家庭用品や衣料品の売上高が押し上げられたことなどが寄与したと述べた。
新型iPhoneの発売や、エネルギー消費節約に向けたクイーンズランド州の還付プログラムも寄与したという。
個人消費の上振れはオーストラリア準備銀行(中央銀行)が来週にも政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げるとの見方を後押しする。
先週発表された第3・四半期インフレ率が予想以上に加速したことを受けてそうした観測が高まり、先物市場は利上げ確率を61%と予想している。
オックスフォード・エコノミクスのマクロ経済予測責任者、ショーン・ラングケーク氏は「(小売)売上高は過去数カ月、高金利や高インフレに対し強さを示してきた」と述べた。
豪ドルは0.4%上昇し、1豪ドル=0.6360米ドル。豪3年国債利回りは12年ぶり高水準の4.388%。
複数のアナリストによると、7─9月の小売売上高は0.2%─0.3%増とプラスになる見通し。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のシニア市場エコノミスト、テイラー・ニュージェント氏は「消費が底堅いことが改めて浮き彫りになった」と指摘。「中銀は家計消費の下振れリスクを注視してきたが、これまでのところリスクは現実のものにはなっていないようだ」と述べた。