[北京 7日 ロイター] - 中国税関総署が7日発表した10月の貿易統計は、輸入が予想外に増加した一方、輸出は減少ペースが加速した。
国内外にさまざまな課題を抱える中国経済の回復が依然まだら模様であることが浮き彫りとなった。
輸出は前年比6.4%減(予想は3.3%減)、輸入は3.0%増(同4.8%減)で、貿易収支は565億3000万ドルの黒字(同820億ドルの黒字)だった。
9月は輸出、輸入とも6.2%減少していた。9月の貿易黒字は777億1000万ドルだった。
輸入は12カ月ぶりに増加に転じた。
国泰君安国際のエコノミストは「市場予想とは対照的な内容になった。輸出が弱く、市場心理に悪影響が出るかもしれない。当社は輸出のサプライチェーンが回復すると予想していた」と指摘。
「輸入の大幅な改善は、在庫の補充など内需拡大に起因している可能性がある」と述べた。
中国経済は不動産部門の問題のほか、失業、家計・企業心理の低迷が持続的な景気回復を脅かす要因となっており、アナリストは、これまでの政策支援で内需を支えられるか不透明だと指摘している。
税関総署のデータに基づくロイター算出によると、対米の貿易黒字は308億2000万ドルで、前月の331億9000万ドルから縮小した。
<人民元と中国株は下落>
貿易統計を受けて、人民元と中国株は下落。景気回復のもたつきに対する懸念が改めて強まった。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミストは「韓国やベトナムの輸出統計では、世界のエレクトロニクス市場の改善が確認されている。中国の輸出不振は、クリスマス向けのグッズや衣料など他の分野の需要低迷を示している」と指摘。
「予想外の輸入増加は内需の拡大を反映しているようだ。コモディティーの一度限りの一括購入によるゆがみではない」と述べた。
中国の10月の原油輸入は前年同月比13.52%増。大豆輸入は25%増だった。
最大の貿易相手地域である東南アジア向けの輸出は15.1%減。
外交関係が改善しているオーストラリア向けの輸出は5.9%増え、同国からの輸入は12.0%増加した。
キャピタル・エコノミクスの中国経済担当責任者は「大半の先進国は目先、緩やかな景気後退か低成長に見舞われる見通しで、外需の重しになるだろう」と述べた。