[チューリヒ 9日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は9日、2023年に30億スイスフラン(35億4000万ドル)の損失を計上したと発表した。過去最大だった前年の1330億フランの損失から大幅に改善した。
暫定ベースでスイスフランのポジションから85億フランの損失を出した。商業銀行のオーバーナイトの資金に対する利払いが増えたことが主な要因。一方、保有する金から17億フランの評価益を得た。
オーバーナイト資金は昨年減少したものの、サイトデポジット(当座預金)の残高は年末時点で4630億フランとなった。
外貨ポジションでは約40億フランの利益を見込んでいる。株式および債券ポートフォリオからの利益がスイスフラン高による損失で相殺された。
安全通貨とされるスイスフランは昨年末、対ユーロで過去8年余りでの最高値に上昇。中銀が他通貨で保有する株式や株の価値をフランに換算した際の価値が低下した。
準備金への支払い(105億フラン)や昨年のマイナスの分配準備銀(395億フラン)を考慮した純損失は約530億フランになるとの見通しを示した。
スイス中銀は3月4日に最終的な損益を公表する。
UBSのアナリスト、アレッサンドロ・ビー氏は中銀の損失について、金融政策に何の影響も及ぼさないと指摘。「スイス中銀の最優先事項は金融政策であり、バランスシートは純粋に金融政策を支援するためにある」と述べた。
その上で、スイスフラン高による製造業への圧力やインフレ緩和を受けて、中銀は6月に利下げし、その後下半期にさらに25ベーシスポイント(bp)の利下げを2回行うと予想した。