David Milliken Andy Bruce
[ロンドン 17日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が17日発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比4%となり、10カ月ぶりに加速した。
ONSはたばこ税の引き上げが要因と説明した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は3.8%。11月は約2年ぶりの低水準の3.9%だった。
英インフレ率はここ数カ月、予想以上の鈍化が続いていた。今回の統計はイングランド銀行(英中央銀行)の懸念材料になりそうだ。
中銀は昨年11月、インフレ率が目標の2%に戻るには2025年後半までかかると予想したが、多くのエコノミストはガス卸売価格の下落などにより今年の4月か5月にも実現する可能性があるとみている。
英中銀の元金融政策委員マイケル・ソーンダーズ氏は12月のCPIについて、広範なインフレ低下基調と矛盾しているとは思わないと指摘。BBCラジオで「より大きな構図として、中銀が数カ月前に予想していたよりも急速なペースでインフレ率は低下している」と指摘し、今年半ばごろに利下げが始まる可能性があるとの見方を示した。
ONSは昨年11月下旬から実施されたたばこ税の引き上げをインフレ加速の理由に挙げたが、衣料品、航空運賃、娯楽サービスなど、より広範な物価上昇圧力が見られた。
一方、食品・非アルコール飲料の伸び率は前年比8.0%と22年4月以来の低水準だった。
変動の激しい食品、エネルギー、アルコール、たばこを除くコアインフレ率は前年比5.1%と、11月と同水準。鈍化しなかったのは昨年7月以来。市場予想は4.9%だった。
サービス価格上昇率は6.4%で11月の6.3%から加速した。モノの価格は1.9%と21年4月以来の低い伸びとなった。
12月の生産者物価指数は(PPI)は投入コストが前年比2.8%下落した。7月以来の大幅なマイナスとなり、価格上昇圧力が予想以上に弱まったことが示された。
ハント財務相はインフレ率は直線的に低下していないとの認識を示した。「われわれは借り入れをコントロールするために難しい決断を下したが、現在は曲がり角を迎えている」と述べた。