■JBCCホールディングス (T:9889)の事業概要同社グループは、2015年3月期から2017年3月期まで中期経営計画「Innovate2016」に取り組み、クラウドサービスにシフトするなど成長基盤を整え、人材開発、評価制度変更に取り組み、従業員の意識改革を図り、生産性向上に取り組んできた。
この結果を踏まえ、顧客のデジタルトランスフォーメーション※への対応強化を図るため、2018年3月期から2021年3月期までの4期間で、新中期経営計画「Transform2020」に取り組んでいる。
※デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を出発点として、または駆使して、あらゆることをトランスフォーム(変化、転換)すること。
デジタル技術を前提に、既存のビジネスや組織のあり方、仕事の進め方、情報収集や学習のやり方、生活のあり方を全面的に見直すこと。
「Transform2020」に取り組むに当たり、経営資源の集中と収益の向上を図るために、2017年6月末にイグアスの株式譲渡を行った。
そして、グループの分野別ビジネスライフサイクルの中で、今後の成長が見込まれる分野を「WILD7」と名付け、注力分野とした。
同グループはこの7つの分野に関し、「Transform2020」の最終年度末には売上2.2倍、総利益2.6倍を目指す。
以下「WILD7」について説明する。
(1) クラウドサービス同社では、「俺のクラウド」の総称のもと、クラウド環境を運用、各種ソリューションを提供している。
また、顧客毎に最適なクラウドサービスを提供するため、コンソーシアム「俺のクラウド倶楽部」を2015年10月に設立した。
同社グループのソリューションと、業種・業務に特化したソリューションやクラウドセキュリティに知見を持つパートナー企業のソリューションをEcoシステムで連携し、顧客に最適なクラウドサービスを提供できることが、同社ならではの特徴であり、基幹システムのクラウドでの活用も推進している。
グループの総合力を生かし、クラウド中心に事業やビジネス、働き方等、様々なデジタル化を進め企業の成長を支援する。
(2) セキュリティクラウドやモバイルの活用が進み、企業のシステム運用や働き方の利便性が高まる一方、セキュリティの領域は広がり、求められる対策も多様化し、現実的には顧客が独力で対応することが難しくなってきている。
同社の運用センターSMAC(Solution Management and Access Center)では、24時間365日体制で顧客のIT環境を監視するとともに、SOC※機能を充実させセキュリティ技術の強化にも取り組み、専門の技術員が顧客の安全・安心なシステム運用を支援している。
※SOC:セキュリティオペレーションセンター。
同社グループでは「OPTi Secure」の総称のもとは、運用監視サービスに加えて、セキュリティ対策の基本となる5ステップ(特定・防御・検知・対応・復旧)に基づいた各種セキュリティサービスを取りそろえ、顧客ごとに最適な組み合わせのセキュリティをサービスとして提供している。
監視・運用サービスに加えて、顧客のサーバー環境やネットワーク環境を理解し、顧客の運用負荷を抑えることができること、多くの顧客の実績からログを解析し対応できる能力が高いことが同社の強みである。
単なるセキュリティ製品の販売・構築から運用サービスへの変革を図りストックビジネス化を進めることで、業績の伸長を図っていく。
(3) NewSI(新たなシステム開発)新しいテクノロジーや様々なクラウドサービスと組み合わせ、顧客の要望に素早く、柔軟に対応できるシステム開発への取り組みを行っている。
実際に動作するシステムをもとに、短いサイクルで顧客と議論・確認しながら開発を進めるアジャイル開発を推進。
上流工程の管理やプログラム自動生成を行うツール類と連携し、品質の向上とスピード開発を実現している。
超高速開発の実績としては、大手予備校の基幹システム刷新において、他社提案で4年のプロジェクトをわずか1年半でサービスインさせた実績がある。
この際に用いた同社独自の「JBCCアジャイル開発」に磨きをかけるとともに、クラウドネイティブでの開発も積極的に展開を図っていく。
(次頁図を参照)既に豊富な顧客基盤と経験があることに加え、それら顧客の業務を把握しており信頼関係があることなどから、他社との価格競争に巻き込まれにくいこと等の優位性を生かし、業績拡大を図る計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)