市場の関心は今週も貿易問題が中心となると見られるが、その他にも欧州連合(EU)の議会選挙結果、英国首相の後継争い、数多くの経済指標、米小売業の決算にも注目が集まる。
英国と米国は月曜日が祝日のため金融市場は休場となる。今週注目すべき5つの事柄を下記にまとめてみた。
1. 貿易問題が今週も最大の注目ポイント
トランプ大統領は月曜日まで日本を訪問し、安倍晋三首相と会談を続ける予定だ。大統領は日本の貿易黒字に不満を抱いており、二国間で貿易協定に合意できない場合、自動車への関税を検討している。
米国による関税引き上げへの報復として、6/1に中国は米国からの600億ドルの輸入品への関税を引き上げる予定だ。これは世界経済への脅威となる世界2大経済圏の貿易戦争を激化させるだろう。
トランプ政権が米国企業によるファーウェイとの取引を禁止した後、貿易戦争はテクノロジー覇権をめぐる戦いへと拡大した。先週金曜日にトランプ大統領はファーウェイ問題を貿易協定の一部に含むことが可能としたが、それ以上の交渉が発表されない限り、投資家は納得できないだろう。
2. EU議会選挙の結果
EU議会選挙の投票は日曜日に終わり、ユーロ圏最大のドイツ、フランス、イタリアを含むEU懐疑派が躍進すると予測されている。
INGは、「議会が分断化を続け、ポピュリストたちがさらなる欧州の統合を妨げるのに十分な議席を確保することへの懸念は高い。金融市場にとって注目すべき2つのことは、1.ユーロ懐疑派が獲得する票数が全体の25%を大幅に上回る場合、2.今後数カ月間、各国の懐疑派メンバーが団結して仕事ができるかどうかだ」と述べた。
EUの指導者たちは火曜日にブリュッセルで会談し、議会、委員会、欧州委員会委員長を含むEU各機関の次期指導者を決めるプロセスを開始する予定だ。投資家たちは、ドラギECB総裁の後任が、ドラギ氏の金融政策への方針を踏襲するかどうかに注目している。
3. メイ首相の後継者争い
メイ英首相の後任争いが激しくなり、現在8人の候補者が名乗りをあげている。
金曜日に、メイ首相はブレグジットを実現できなかったことを理由に辞任を発表した。彼女は議会でEUと合意した協定案を3回採決にかけたが、議会の同意を得ることができなかった。もともと3月29日であったブレグジットの期限は10月31日まで延長されている。
混迷していた政治情勢がメイ首相の辞任によって一歩進み、新首相がハードブレグジットか総選挙の可能性を探ることができるようになった。
4. 経済指標
米国の関税引き上げによる経済に対する影響への懸念が高まる中、中国は金曜日に5月のPMIを発表する予定だ。
最大の注目は金曜日に発表される米個人支出とFRBが注目するPCEコアデフレーターだ。その他では木曜日の1-3月期米GDP改定値、貿易収支、中古住宅販売保留数もある。
金曜日の3月カナダGDP発表に先駆けて、水曜日にカナダ銀行は政策金利を発表するが、据え置きが予想されている。
5. 米小売大手の決算
木曜日には、コストコ(NASDAQ: COST)を含む多くの米小売大手が決算を発表する予定だ。ダラーツリー(NASDAQ: DLTR)、ギャップ、アルタビューティーも木曜日の予定だ。
今週決算発表を行う他の企業には、水曜日のファッション大手小売のアバクロンビー&フィッチとカナダグースがある。