[10日 ロイター] - 米疾病対策センター(CDC)の10日公表の報告書によると、2020年の米国の銃による殺人の死亡率は国民10万人当たりで6.1人となり、前年の4.6人から35%増加し、1994年以降の26年間で最悪になった。若い黒人男性が特に多かった。貧困との相関性も強かった。
銃によるこうした死亡率は、黒人は国民全体と比べ少なくとも4倍高く、白人と比べると12倍だった。10万人当たりで黒人は26.6人となり、19年から39.5%増えた。20年の白人は2.2人だった。
銃による死者数(自殺除く)は1万9350人で、割合は黒人が62%、白人が21%だった。
20年についてはこれまでも、新型コロナウイルスのパンデミックの社会的影響で銃の暴力が増加したと指摘されてきた。米連邦捜査局(FBI)の昨年公表の報告書では、20年の殺人件数は前年から30%増えていた。
CDCの報告書は銃による死者増加が貧困や格差問題と強い関連性があると指摘。格差拡大には「不明瞭で恐らく複雑な要素」が絡んでおり、これに対してパンデミックが「既存の社会的・経済的ストレスを増幅させた」可能性があると分析した。
ただ、黒人以外でも白人以外は増加が目立ったという。CDCは「長年の社会制度的な格差や構造的な人種差別がさまざまなマイノリティーの家計や住宅取得、教育の機会の制限につながってきた」とし、これが人種や民族の違いによる暴力や健康上の「リスクの格差」に関係していると指摘した。