[シドニー 14日 ロイター] - ナショナル・オーストラリア銀行(NAB) (AX:NAB)が発表した3月の豪企業景況感指数はマイナス21と、前月のゼロから急低下し、過去最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を抑える取り組みで経済活動が休止状態にある中、約30年ぶりのリセッション(景気後退)に陥る可能性が高まっている。
信頼感指数もマイナス66と、前月のマイナス2から大幅に低下。1990年代前半の景気後退局面での水準を下回り、過去最低を記録した。
NABグループのチーフ・エコノミスト、アラン・オスター氏は「企業の見通しが過去最悪なのは憂慮すべきだが、意外ではない」とした上で、「企業は3月に事業環境や収益性、雇用がすべて悪化したと報告した」と述べた。
また「豪経済は向こう3四半期にかけて前例のない速さと規模での景気後退を経験する見通しだ。これは失業率の急速な上昇につながるだろう」と語った。
3月は雇用指数もマイナス20と、前月のプラス1から大幅に落ち込んだ。
豪政府は総額2000億豪ドル超の景気支援策を発表している。この中には、企業への賃金支払い補助を柱とする1300億豪ドル規模の雇用維持策も含まれる。
フライデンバーグ財務相は14日、それでも失業率は6月までに10%に上昇する可能性があると述べた。ただ、政府の支援策がなければ失業率は15%に上昇する可能性もあったとした。
NABのオスター氏は「新型ウイルスの感染が封じ込められ、人との接触を避ける措置などが緩和されれば、経済活動は比較的急速に回復するとの見方が大勢だが、企業にとって目先の懸念はキャッシュフローだ」と指摘。「現時点では、事態が改善する前に悪化するとみる企業のほうが多い」とした。