[29日 ロイター] - <為替> ドルがほぼ横ばいで推移した一方、円は月末特有の調整などを反映し、対ドルで昨年11月中旬以来の安値を更新した。また、個人投資家が特定の株式に集中して投資する動きが仮想通貨に広がったことで、暗号資産(仮想通貨)のビットコインが2週間ぶりの高値を付けた。
ドルは過去2週間にわたり主要通貨に対しレンジ内で推移。昨年のドル安トレンドが今後も継続するのか見極めようとする動きが出ている。主要6通貨に対するドル指数は90.57と、ほぼ横ばい。今月6日に付けた3年ぶり安値の89.206からは1.53%高い水準にある。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「新材料が模索されているが、来月まで何も出てこないとみている」とし、「ドルの調整は続くのか、もしくは終了したのか、まだ判断できない」と述べた。
市場では米追加景気対策の行方が注目される中、来週発表される1月の米雇用統計が新たな動意になる可能性があるとの見方が出ている。
リスク選好度が低下したにもかかわらず円はアンダーパフォームし、対ドルで約2カ月ぶり、対スイスフランで約3年ぶりの安値を付けた。アナリストは日米金利差のほか、月末のポートフォリオ調整などが背景にあったと指摘。ショートスクイーズも一部要因になった可能性があるとしている。
終盤の取引で円は対ドルで0.50%安の104.73円。一時は104.94円まで下落した。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.2%高の3万4300ドル。米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が自身のツイッターのプロフィールに「#bitcoin」と投稿したことが押し上げ要因となった。
マスク氏のツイートは米ゲーム販売ゲームストップの株価にも影響。OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「ビットコインはゲームストップを巡る熱狂に巻き込まれた。マスク氏のツイートで仮想通貨が再び注目された」と述べた。
ドルはオフショア市場で中国人民元に対し3週間ぶり安値を更新。29日の中国短期金融市場で翌日物加重平均レポ金利が5日連続で上昇し、中国人民銀行(中央銀行)の金利コリドーの上限を突破したことが影響した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米債利回りが上昇した。昨年12月のインフレ関連指標が伸びたほか、雇用コストも上昇し、米経済が新型コロナウイルスの感染拡大による壊滅的な影響から好転していることが示唆された。
来週には米雇用統計の発表が予定されている。
米債利回りはオーバーナイトから上昇。欧州中央銀行(ECB)による追加利下げの可能性は低いとのロイター報道を受けた欧州債利回りの上昇に追随した。
ただ午後になって、インデックス連動を目指すポートフォリオマネジャーによる月末のリバランスが上昇を抑制。1月は債券売り・株式買いが優勢だったため、リバランスの債券買い・株式売りが出たという。
米商務省が29日に発表した2020年12月の変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.3%上昇。同指数の前年比の動きは米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目している。
これを受け、長期債利回りが上昇しイールドカーブはスティープ化。2年債と10年債の利回り差は98.30ベーシスポイント(bp)に拡大し、約1週間ぶりの大きさになった。
インキャピタルのチーフ市場ストラテジスト、パトリック・リアリー氏は「インフレ率が予想をやや上回り、正しい方向に推移している」と述べた。
PCE価格指数の伸びを受け、10年物インフレ指数連動債(TIPS)利回りは一時2.089%に上昇。前日は2.04%だった。
また、米労働省がこの日発表した20年第4・四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比0.7%上昇し、市場予想の0.5%上昇を超える伸びとなった。賃金・給与が好調に伸び、全体水準を押し上げた。物価上昇率が今年加速するとの見方を後押しした。
午後の取引で、指標10年債利回りは前日終盤の1.055%から1.097%に上昇。一時1週間ぶりの高水準となる1.105%を付けた。
30年債利回りも1.819%から1.863%に上昇。一時1.870%と1週間ぶりの高水準を付けた。
2年債利回りは小動きが継続。この日は0.121%から0.117%に小幅に低下した。
短期市場では、翌日物レポ金利が0.09%に上昇。前日は0.03%と20年5月以来の低水準だった。昨年7月以降、翌日物レポ金利は14bp低下しており、過剰流動性を示している。
この時期は米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によるレポ市場への資金フローによりレポ金利が低下する傾向にあるが、通常よりも大幅な低下だった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 急反落し、ダウ工業株30種は620ドルで取引を終えた。主要株価指数は週間で昨年10月以来の大幅な値下がりを記録。医薬品ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の下げが響いたほか、このところ続くヘッジファンドと個人投資家の攻防が値動きを荒くした。
J&Jは3.6%安で、ダウ平均やS&P総合500種指数を下押しした。同社は開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、有効性が66%だったと発表。米ファイザー・独ビオンテック製や米モデルナ製ワクチンが示した95%程度の予防効果と比較して見劣りする結果となった。
こうした中、この日はビデオゲーム販売のゲームストップなどへの個人投資家の買いが復活し、ヘッジファンドなどの売り方が踏み上げられる「ショートスクイーズ」への懸念も再燃した。
ディファイアンスETF(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、シルビア・ジャブロンスキー氏は「全体的として長い冬の巣ごもりや消費の手控えを余儀なくされるような悪材料が出てくれば、市場は後退し様子見をせざるを得ない」と指摘。さらにゲームストップのような動きを目の当たりにし、多少動揺が見られると述べた。
ゲームストップは67.9%高。一時2倍超に値上がりした。オンライン証券のロビンフッドが取引制限を緩和したことで個人投資家の買いが再び活発化した。ステレオ・ヘッドフォン製造のコスは52.52%高。
ゲームストップの急騰を受け、空売りを専門とする米投資情報会社シトロン・リサーチは、今後は空売りに関するリポートを公表しないと表明した。
証券取引委員会(SEC)は、特定銘柄の取引を「不当に阻害する」可能性のある行為を調査し、不正行為を注意深く監視していくと発表。「中核となる市場インフラは今週の異常な出来高でも耐性があると実証されているが、株価の極端なボラティリティーは投資家に急速かつ深刻な損失をもたらし、市場の信頼を損なう可能性がある」とした。
ヘッジファンドなどが空売りで出した数十億ドルの損失を穴埋めするため、保有する優良銘柄の一部売却に動く中、アップルやマイクロソフトが売られ、それぞれ3.7%、2.9%下落した。
リフィニティブのデータによると、29日午前までに2020年第4・四半期決算を発表したS&P500採用企業184社のうち、利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は84.2%と、過去4四半期の平均(75.5%)を上回っている。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 投資家のリスク選好意欲が後退する中で買われ、反発した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比9.10ドル(0.49%)高の1オンス=1850.30ドル。
米株相場が不安定な値動きを続ける中、安全資産とされる金が買われた。また、外国為替市場ではドルが対ユーロで弱含みに推移。ドル建てで取引される金に割安感が生じたことも支援材料となった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 需給引き締まり観測を背景に買いが先行したものの、米株安を眺めて続落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.14ドル(0.27%)安の1バレル=52.20ドル。4月物は0.16ドル安の52.08ドルだった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 104.68/104.71
始値 104.73
高値 104.84
安値 104.62
ユーロ/ドル NY終値 1.2136/1.2137
始値 1.2126
高値 1.2155
安値 1.2125
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*06.00 1.8354%
前営業日終値 95*17.50 1.8190%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*06.00 1.0706%
前営業日終値 98*10.50 1.0550%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.00 0.4256%
前営業日終値 99*23.25 0.4300%
2年債(指標銘柄) 16時45分 100*00.88 0.1113%
前営業日終値 100*00.25 0.1210%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 29982.62 -620.74 -2.03
前営業日終値 30603.36
ナスダック総合 13070.70 -266.46 -2.00
前営業日終値 13337.16
S&P総合500種 3714.24 -73.14 -1.93
前営業日終値 3787.38
COMEX金 4月限 1850.3 +9.1
前営業日終値 1841.2
COMEX銀 3月限 2691.4 +99.2
前営業日終値 2592.2
北海ブレント 3月限 55.88 +0.35
前営業日終値 55.53
米WTI先物 3月限 52.20 ‐0.14
前営業日終値 52.34
CRB商品指数 174.2021 ‐0.0916
前営業日終値 174.2937 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20210129T222931+0000