[7日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は7日、米景気見通しは明るさを増しているものの、インフレ率がより健全な水準に上昇するよう、米連邦準備理事会(FRB)は当面、緩和政策を維持する必要があるとの見解を示した。
エバンズ総裁は、新型コロナウイルスワクチンの迅速な普及に加え、政府の刺激策や金融緩和政策を追い風に、米経済には「かなりの勢い」があり、「今年終盤にかけ、力強い成長を遂げると楽観している」と述べた。
現在6%の水準にある失業率は年内に改善し、来年末までに大半のFRB当局者が長期的に持続可能な水準とみなす4%を下抜ける見通しとし、FRBの二大責務のひとつである最大雇用の達成が「視野に入っている」との認識を示した。
同時に「平均2%のインフレ率を達成し、インフレ期待を2%近辺に固定させるためには、インフレは2%を超えて上昇する必要があるだろう」と指摘。物価安定目標の達成には「緩和的な金融政策維持が必要と考える」と述べた。
FRBは最大雇用と物価安定の目標達成に向けて「さらに著しい進展」が見られるまで政策金利を据え置き、量的緩和政策を継続すると表明している。
エバンズ総裁は「これらの条件がしばらく満たされることはないだろう」とし、「現行政策は当面維持される公算が大きい」とした。
最近の国債利回りの上昇は、経済に対する楽観的な見方と多少のインフレ期待を反映したものであり、「良いこと」だと強調。また、2.5%のインフレ率を「範囲外」と捉えるべきではなく、平均インフレ率をFRBの目標である2%に引き上げるためなら、3%のインフレ率でも歓迎すると述べた。
米経済については、今年は力強く成長するとの自身の見通しに確信を持っていると述べた。ただFRBは量的緩和の縮小を決定する前に目標に向けた進展を確認する必要があると指摘。「忍耐強くならなくてはならない」と述べた。