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焦点:国内主要生保、21年度は超長期国債を積み増し 外債はやや慎重

発行済 2021-04-26 17:18
更新済 2021-04-26 17:27
© Reuters. 焦点:国内主要生保、21年度は超長期国債を積み増し 外債はやや慎重

植竹知子

[東京 26日 ロイター] - 国内主要生保の2021年度一般勘定資産運用計画では、超長期債を中心に円金利資産を積み増す一方、海外のソブリン債には直近の金利上昇にもかかわらず慎重な姿勢が目立つ。米長期金利や為替ヘッジコストの将来的な上昇が警戒されている。一方で海外の社債などクレジット物には積極的、国内株にはリスク削減の観点から総じて売り目線だ。

<2025年の規制導入見据え>

国内生保が円金利資産を運用の中心とする背景には、4年後に導入予定の新たな資本規制の存在がある。国際的に活動する保険グループ対象の資本規制である保険資本基準(ICS)が2025年に導入される予定で、国内では、金融庁が保険会社に適用されるソルベンシー規制を経済価値ベースの手法に見直すことを検討している。

第一生命は同規制の導入を念頭に金利リスクの削減を掲げて、責任準備金対応債券の積み増しや、プロジェクトファイナンス、アセットファイナンスへの投資によって円債残高を増加させる。

明治安田生命もICSへの対応を視野に、円建て債券の積み増しや株式売却によりリスク低減を図る一方、海外クレジット資産や外債、海外株など相対的に利回りが高い投資先を増やして総合的な利回りを確保する計画だ。新規財源の約4割を円建て債に配分し、国内金利が上昇する局面では超長期債を中心に積み増す。

日本生命は新規資金の大部分に当たる純額で1兆円以上を「国内債券等」に振り向ける。国内債券のほか、前年度に続き、通貨スワップをつけて円金利化させた外国社債に、ほぼ半分ずつ配分する計画だ。

住友生命も金利リスクのコントロールを目的に、超長期債投資や金利スワップの活用を通じて数千億円規模で円債残高を積み増す方針。

<国内株は削減スタンス>

ICS対応を巡っては、今年に入って日経平均が30年半ぶり高値をつけて各社とも含み益が膨らむなか、国内株式を売却して株式リスクを削減する動きが相次ぐ。

第一生命は、年度末の日経平均株価を3万3000円と株高を想定しながらも、国内株式残高を減少させる計画。向こう3年間で金利・株式に関わる市場リスクを新たに20%削減することを目指し、時価で約6000億円の国内株式を売却する一方、デリバティブや投資信託によるヘッジポジションを約6000億円を構築する。

日本生命は、年度末の日経平均見通しを2万6000円と予想。「向こう3年で保有簿価の2%程度(1000億円)を売却」するとの21─23年中期経営計画に則り、今年度残高を小幅削減する方針だ。

<外債はクレジット中心>

財務省の統計によると、生保勢は昨年来9カ月連続で外債を売り越している。今年に入って米債利回りが上昇し相対的な魅力度が上がったものの、やや慎重姿勢の運用計画が多い。

生保各社の外債投資では為替ヘッジ付きが大部分を占めるが、ドルのヘッジコストがこのところ低位安定していることから、足もとの円建て換算後利回りは米10年国債で1.2%前後。ヘッジコストが債券利回りを上回ってマイナス利回りとなっていた昨年前半までに比べて投資環境は大きく改善している。

しかし、各社が積極的に外債投資にシフトした15─16年に比べると、かなり慎重な姿勢が目立つ。

懸念要因の1つは、今後の米国経済のさらなる回復を受けた米国債利回りの一段の上昇(価格は下落)だ。大同生命は、ドル/円のスワップコスト(ヘッジコスト)は歴史的にみても低いものの、金利上昇(時価下落)の可能性を含めると、米債投資を増やすのはややタイミングが早いと指摘。

加えて、日本生命や明治安田生命などは、ヘッジコストは今後、上昇する可能性があると警戒する。

このため、各社とも米国債よりも利回りが高い社債などクレジット商品への投資を継続する方針だ。

為替ヘッジを付けないオープン外債については、住友生命が1000億円単位で増やす方針を示しているほか、明治安田生命も積み増しを計画。両社を含め、米国の景気回復先行を背景に、ドル高・円安の展開になりやすい、との見方が多かった。

<オルタナ投資やESGには積極姿勢>

世界的な低金利環境下で収益を確保するため、オルタナティブ・不動産投資に注力する動きも継続している。

かんぽ生命は、国内の実物不動産や、インフラエクイティ、プライベートエクイティを中心に、前年度を上回る規模で残高を増やす方針だ。

ESG投資は、住友生命が、政府の2050年の「温室効果ガス排出量ネットゼロ」とも足並みをそろえて、機関投資家として資産ポートフォリオにおけるネットゼロ達成を目指すと表明するなど、各社とも積極的な取り組みを強調している。

(植竹知子 編集:伊賀大記)

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